糸を使った新しいたるみ治療「テスリフト」について。

輪郭整形

3Dメッシュとバーブ糸を使用する韓国発スレッドリフトがテスリフトです

顔のたるみを改善するために様々な方法が考えられています。最終的なたるみ改善治療として美容外科的な切る治療を選ぶには勇気が必要かもしれません。

現在では糸を使ってたるみを改善する治療方法が多く考案されており、美容医療領域では切らないたるみ治療を多くの患者さんがされています。多数ある糸を使ったたるみ治療の中で、どれが一番自分にあっているのか迷っている方も多いのではないでしょうか?

今回テスリフトという新しい糸を使ったたるみ改善治療の長所と短所を体験レポートとしてお伝えします。

テスリフトというたるみ改善に効果的な新しい糸とは?

なぜテスリフトでたるみが改善するのか?テスリフトの特徴を解説していきます。

テスリフトに使用する糸の構造

より合わせた糸の構造(メッシュ)+とげ(barb)が特長であり、皮下組織を引き上げるちから、張りをもたせる力が3方向に働きます。そのために3Dリフトと呼ばれています。実際は顔のSMAS(筋膜)を引き上げることにより、ほほ・フェイスラインの引き上げ効果により、加齢による顔全体のたるみの改善ができます。

真ん中のイラストがテスリフトに使用する糸の構造を示しています。

テスリフトの糸の成分

テスリフトの糸の成分として使われているのはポリジオキサノン (Polydioxanone 略してPDO)で、この成分は体内に時間の経過とともに自然と吸収され、吸収糸とも呼ばれているものです。外科手術用縫合糸の素材を使っているために安全性は十分に確認されています。

テスリフトに使用する針(カニューレ)の特徴

テスリフトを皮膚に入れるためには、針を使用します。この針の先端は丸くなっており(鈍針と呼びます)、皮下に入った時に、神経や血管を傷つけることなく安全にPDOを原料としたテスリフト用の糸を埋め込むことが可能になっています。当院の経験では術後の皮下出血や神経を傷つけたようなことはありません。安全な針を使用して、顔の筋肉・血管・神経の解剖学知識が豊富な医師が施術しますので、ご安心ください。

テスリフトの効果持続時間

残念ながら当院で人気のリフトアップ治療で使用されるVOVリフトと比較すると、テスリフトは早め、約半年で自然と体内に吸収されてしまいます。

テスリフトの効果が出てくるまでの時間

もちろん入れた途端に効果は実感できます。基礎的データによると効果は2週間後くらい(治療の影響が落ち着いたころから)右肩上がりで上昇することが分かっています。

右のグラフが効果発揮までの時間を表しています。

テスリフトとほかの糸を使ったリフトアップとの違い

当院で現在行っている糸を使ったリフトアップは数種類あります。VOVリフトは効果持続期間が長いことが特長です。それに比べてテスリフトは効果持続期間が短いのですが、皮膚を引き上げる力はVOVリフトよりしっかりしているとの感想をいただいていますし、理論的にも力が一か所にかからない構造のため、自然な引き上げ効果が期待できます。

VOVリフトの登場で、以下の3つの方法は補助的なものになってしまっています。さらにテスリフトの導入により糸を使ったたるみ治療であるリフトアップは格段の進化を遂げたとも言えます。

テスリフトの欠点

従来のリフトアップ用の糸と比べると、若干太いので(前掲のイラストのようにメッシュ構造であるため)、針を皮膚内に差し入れるときに、局所麻酔をして小さな穴をあける必要があります。また、表面を拡大すると複雑な構造をしているために治療中の感染に注意が必要なために、万が一を考えて抗菌材を3日ほど服用していただきます。

太い糸だからといって、テスリフトを皮膚内に入れるときに痛みを感じることはほとんどありませんが、ゴソゴソとした音と押される感触があります。この欠点に対して抵抗感がある方はテスリフトによる顔のたるみ改善治療はご遠慮いただいて、体内に何も入れないで高密度超音波(HIFU) を利用したウルトラフォーマーによる治療をお勧めいたします。

テスリフトのダウンタイム

テスリフトを入れるときに針で穴をあけます。感染のリスクがあるとは思えませんが、念のためにテープやデュオアクティブを使用していただく場合もあります。針の穴の瘢は一週間でほとんど目立たなくなります。

テスリフトは太目の糸であるために、入れた場所が若干腫れたり、腫れた感じがしたりします。これもほとんどの場合、一週間程度で気にならなくなります。

皮下出血(いわゆる内出血・アオたん)は当院では発生していません。出血傾向のあるお薬を服用中の方は事前にお申し出ください。

慣れた方であれば当日からなんの気遣いもなく、化粧や入浴など通常の生活が送れます。しかし、今まで様々な治療を当院で行ってくれた患者さんの中には思わぬトラブルが発生したことは残念ながらゼロではありません。患者さん各々の特徴はカルテに詳細に記載記録してありますので、担当医が予想以上のダウンタイムが起きないようにチェックいたします。

テスリフト刺入部の一時的な傷の隠し方

もみあげ付近からのアプローチ

主にこめかみ付近からテスリフトを入れます。その時に傷を隠すために、もみあげ、つまりこめかみの毛髪が生えている部からテスリフトを入れたくなりますが、糸がかなりギザギザになっているために髪を巻き込むことがあります。解決策としては毛髪の一部を剃る(剃毛)が提案できます。

剃毛に抵抗のある患者さんに対しては、どうしても毛髪では隠れない、しかし目立たない部位からの刺入をすることを鏡で確認しながら行う必要があります。

刺入部の傷と言っても針の穴程度です

どうしても、皮膚の一部の穴をあけてテスリフトを皮下に挿入する必要があります。その場合の「傷跡」と言っても一週間程度でほとんど見えなくなります。治療後数日は軟膏あるいはデュオアクティブで被覆することも考えられます。しかし、今まで試験的に行ってきた症例では、処置は何もしなくても感染はしませんし、当日から入浴や化粧も可能との報告を受けています。

テスリフトが効果的な人、と効果があまり期待できない人

出血傾向のある薬を服用している人でもテスリフトの場合、出血や皮下出血のリスクはかなり低いと思われます。医師とともに患者さんの状況等を把握してサポートする必要があります。

テスリフトが効果的な人

20才台でいわゆる「小顔」効果を期待する患者さんには適した治療方法だと考えます。また、他の切らないリフトアップ治療でなかなか効果が出ない、効果が出るのに時間がかかるのやイヤ❗って患者さんにはその場で効果を実感できるテスリフトはおすすめです。

これは治療直後。ちょっと顔の向きが違っているけど、ほうれい線とフェイスラインのビフォーアフターの違いがよく分かるはずです。ちなみにこれはテストケースであり、テスリフトは一本しか使用していません。

テスリフトの効果があまり期待できない人

今後の症例追加によって見解は変わる可能性もありますが、70才以上でかなり皮膚がたるんでいる患者さんは残念ながら効果はあまり期待できません。

また、皮下脂肪が極端に薄い患者さんの場合、糸の張力が皮膚の上から確認できるような可能性も否定はできないので、他の方法によるリフトアップを勧めるべきです。

初めて糸を使ったリフトアップに挑戦する患者さんへの注意

いくら手術に使われる安全性の高い吸収される糸を使用すると言っても、体内に異物を入れることに抵抗感がある方にはオススメはできません。そのような方はウルトラフォーマーや思い切って切るフェイスリフトが当院の場合で対応可能です。

テスリフトを入れる箇所にほんの少しの石灰を入れますが、もちろん局所麻酔をします。もし、手術が怖い、眠れるような麻酔を希望する患者さんに対して、院長である私が「静脈麻酔やガス麻酔を使用してまで、エイジングケアの1つであるテスリフトを行う必要はない」と伝えています。テスリフト治療のリスクより麻酔のリスクの方が大きいと判断するからです。

テスリフトを希望する患者さんで、糸を使ったリフトアップは初めてという患者さんに対しては、良い点と悪い点を時間をかけて説明して、わかりにくい部分に関しては症例写真や動画を使います。

VOVリフト等の糸を使ったリフトアップを経験している患者さんへの注意

切るフェイスリフトを行った患者さんへのメインテナンス的な役割はかなり期待できます。また、VOVリフト治療を行った患者さんに対する微調整やメインテナンスとしての効果も期待できます。

ボトックス・ヒアルロン酸・ウルトラセルジィー(HIFU)との組み合わせについての注意

当院で行っている人気の高いボトックスやヒアルロン酸治療と同時に行うことは全く問題ありません。ウルトラセルジィーは同じリフトアップ効果を狙った治療ですから、同時に行う合理性はありません。

桑満おさむ(医師)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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