レーザー治療の進化を実感できる「ハリウッドスペクトラ」その効果とは?

スキンケア

色素性病変用レーザー HOLLYWOOD SPECTRA™

ハリウッドスペクトラは2種類の異なった波長のレーザーを組み合わせることで、様々な肌のトラブルを改善するレーザー治療機器です。

肝斑や入れ墨といった皮膚の色素沈着の改善に特に効果があり、ショートパルスレーザーの中では肝斑の治療用としては初めてFDA(アメリカ食品医薬品局)の認可を受けた機器です。

また、コラーゲンの再生を促す効果もあるため、肌のキメを整えたり、たるみを引き締めるなど肌のトラブルにオールマイティにアプローチできる最新の機器です。

開発したのは韓国の「ルートロニック社」で、アジアではナンバーワンの美容レーザー機器メーカーです。この分野は韓国は非常に進んでいますね。

ハリウッドスペクトラ

ネーミングの由来は?

それにしてもハリウッドスペクトラってすごいネーミングですよね。
名前の由来はよくわからないのですが、韓国の方って海外への進出意欲が強いのでしょうね。
BTSなどのグループもありますし、とにかく「海外に進出しようとする」強い想いがあるのかもしれません。

そんなわけで「ハリウッド」という名前をつけたのではないかと私は勝手に推測しているのですが、ご存じの方がいたら教えてください。

ハリウッドスペクトラと従来のレーザーの違い

ハリウッドスペクトラは、1064nmと532nmというふたつの異なった波長のレーザー光線を照射する機器です。

光の波長は長くなるほど、皮膚の奥に作用します。
2つの波長を使い分けることで、皮膚の浅い部分と深い部分のどちらにも使用することができるのが特徴です。

  • 1064nm(長い波長)
    皮膚の奥に作用するのでタトゥーやあざ、シミの中でもADM(後天性真皮メラノサイトーシス)などに使用します。
  • 532nm(短い波長)
    皮膚の表面に作用します。普通の加齢に伴うシミである老人性色素斑にはこちらを使用します。

これまで当クリニックで使用していたQスイッチYAGレーザーも、2つのレーザー光線を照射するという原理は全く一緒です。

ハリウッドスペクトラはQスイッチYAGレーザーと同じスペクトラシリーズの最新上位機種にあたります。
進化した点はいくつかありますが、最重要のポイントはロングパルスレーザーが搭載されたことです。
治療の用途に応じて波長だけでなく、照射時間の長さも変えられるようになったのです。

  • ショートパルスモード
    ナノ秒(1億分の1秒)単位という非常に短い時間に強い出力のレーザーを当てるモード
  • ロングパルスモード
    ミリ秒(千分の1秒)単位の長い時間に弱い出力のレーザーを当てるモード

料理の場合は目的によって火加減を調整しますよね。肉を調理することにたとえてみると分かりやすいかと思います。
高温で焼いた場合は中は生でも、外にはしっかり焦げ目がつきます。
低温でじっくり焼いた場合は焦げ目がついてなくても中まで火が通ります。こんな使い分けができるわけです。

短時間で強い出力を出すショートパルスモードは、メラニン色素を破壊することで肌の色調を改善します。
ロングパルスモードは弱い出力で皮膚の真皮といった深い部分に作用します。これにより、肌の土台となるコラーゲンの産生を促すことでふっくらとした肌に作り変える効果があります。

「波長の長短」「ショートパルスとロングパルス」を切り替えることで、様々な症状に対応でき高い効果を出すことができる機種なのです。

ハリウッドスペクトラの5つの使用モード

使用モード波長パルス出力症状
①Qスイッチ532nmショートパルス強め濃く大きい老人性色素斑、ソバカス
②Qスイッチ1064nmショートパルス強めADM 、アザ、タトゥー
③レーザートーニング
(ルートロピール)
1064nmショートパルス弱め肝斑、薄く小さい老人性色素斑、色素沈着
④スペクトラピール1064nmロングパルス弱め肌質改善、毛穴、たるみ引き締め、ニキビ
⑤デュアルピール1064nmショートパルス弱め後述
1064nmロングパルス弱め

①Qスイッチ

532nm/ショートパルス/出力強め
老人性色素斑、ソバカスの治療などに用います。
大きく濃い老人性色素斑のある方は、その部分のみピンポイントで532nmのレーザーを強めに当てて取ります。この治療をするとかさぶたができ、その後2週間ぐらいたつとかさぶたが自然に取れます。かさぶたが取れればシミが取れているという状態になります。
大きく濃い老人性色素斑はこれ以外の方法では取れません

②Qスイッチ

1064nm/ショートパルス/出力強め
シミの一種であるADM(後天性真皮メラノサイトーシス) 、アザ、タトゥーの治療などに用います。
色素が皮膚の深い部分にまで及んでいるADMの場合は1064nm波長のレーザーを強めに当てて取りますが、1回では取れず、3ヶ月おきに4、5回の照射が必要になります。ADMはこれ以外の方法では取れません。

③レーザートーニング(ルートロピール)

1064nm/ショートパルス/出力弱め
ルートロピールと命名されている、スペクトラシリーズの照射モードの名称です。一般的にはレーザートーニングと呼ばれています。
肝斑などの場合にはかさぶたができないぐらいに弱めにレーザーを当てて、回数を重ねて徐々にシミを改善していきます。

④スペクトラピール

1064nm/ロングパルス/出力弱め
スペクトラピールと命名されている、スペクトラシリーズの照射モードの名称です。
皮膚の深い部分にまで熱が届き、皮膚の土台となるコラーゲンの再生を促します。これにより若々しいふっくらとした肌に生まれ変わらせる効果があります。
ハリやツヤといった肌質改善、毛穴の開き、たるみの引き締め、ニキビやニキビ跡の改善などの効果があります。

⑤デュアルピール

1064nm/ショートパルス/出力弱め + 1064nm/ロングパルス/出力弱め
デュアルピールとは1回の治療でショートパルスとロングパルスの両方を使用することを指します。
当クリニックでは1回の治療の中でまずはロングパルスモードを使用し、その次にショートパルスモードを使用するという流れで治療をしています。
この2つを行うことでシミを改善するだけでなく、④のスペクトラピールのお肌の若返り効果の一石二鳥の効果があるのです。

その他ハリウッドスペクトラが従来から進化した点

患部に均一に照射できるという特徴もあります。
QスイッチYAGレーザーは照射の強さが、レーザーをあてている中央部分が強かったりといったムラがややあったのですが、この点が改善されています。
健康な肌へのダメージを抑えつつ、治療したい部分に集中的にレーザーのエネルギーを集中させることができるのです。
治療効果が高く、かつダウンタイムが短いというメリットがあります。

効果が出るまでの期間

濃いシミに対してはだいたい2週間ぐらいです。
シミの部分にハリウッドスペクトラを使って施術をするとかさぶたができますが、2週間ぐらいたつとかさぶたが自然に取れます。
かさぶたが取れればシミが取れているという状態になります。

やってみないとわからないのですが、1回で終わらず複数回の施術が必要な場合もあります。1回で終わる方はだいたい半分ぐらいですね。
あと、かさぶたが取れた直後はきれいになっていても、その後色素沈着が起きる時があります。色素沈着は5割ぐらいの確率で起こるのですが、通常その後3、4ヶ月程度で目立たなくなるのが普通です。
まれにですが、肌が乾燥していて浅黒い方などでは色素沈着がなかなかおさまらない方もいらっしゃいます。長い場合では1年ぐらいかかることもあります。このような場合はハイドロキノンの塗布、ピーリングを行う、ビタミンCの内服など積極的に色素沈着に対処するようにします。

肝斑の場合はかさぶたができないぐらいに弱めにレーザーを当てるのですが、大体10回以上かかります。1ヶ月に1回が当クリニックの推奨なのですが1年近くかかる計算となります。
この治療で肝斑が目立たなくなる事が多いのですが、しばらくすると出てくることが多いですね。

ロングパルスによる肌質の改善については、コラーゲンが増えるまでにタイムラグがあるので、直後は効果がありません。大体2、3週間で効果が見え始めて、1ヶ月ぐらいで効果が最大になります。
定期的に通っていただくのがベターです。人間は機械とは違うので、一回修理すれば終わりというわけではないのですね。

こんな方におすすめします

メインはあくまでシミの治療です。肝斑については他の治療が効果がなく、いよいよレーザーを使いたいとなった場合にはこれ一択というところです。

シミの治療にプラスして肌質改善、毛穴の開き、ハリを出したい、肌が元気がなくなった、ニキビの改善などを狙いたいという方にお勧めの治療です。
例えば、たるみだけならハイフの方がよいですし、ニキビの場合はケミカルピーリングといったもっと効果的な治療があります。

リスク・副作用について

ショートパルス

強く照射するモードを用い、かさぶたを作って濃いシミを取った場合は、みずぶくれや軽い火傷のリスクがあります。また、もとのシミの部分が炎症によって赤くなったりすることもあります。
これらは重篤なものではないので2、3週間程度でもとに戻ります。
また色素沈着によってシミが余計濃くなることは起こりえます。

ロングパルス

出力は弱いものの軽い火傷のリスクはあります。

レーザートーニング

肝斑の治療に使う弱い出力のモードです。
赤いぶつぶつができたり、肌に赤みが出ることもあります。
しかし、レーザートーニングは非常にマイルドな照射なので、直後にお化粧をしていただくこともできますし、これらの肌のトラブルは2、3日で治まります。

施術事例

ハリウッドスペクトラ 施術事例

右の写真では肝斑が目立たなくなっているのがよく分かると思います。また、肌全体が若々しく艶が出ているのもハリウッドスペクトラの効果です。

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松下洋二(医師)

鳥取大学医学部卒業後に京都大学医学部形成外科に入局。大学附属病院などで形成外科・美容外科で働いた後、2007年より五本木クリニックの美容診療部の部長に就任。

主に他院での鼻整形の失敗で悩む患者さんからの修正依頼に応えて続け20年以上経ちます。こんな私の強みは、施術後、時間が経つと一体どんな影響を及ぼしていくのか、その未来について予測ができること。医師としてこれまで患者さんと向き合ってきた経験を現場で活かすだけでなく、読者の皆さんにとって少しでも有益な情報になるよう情報発信に努めてまいります。

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