手術後の傷跡は、切開した皮膚はふたたび縫い合わせる以上どんな名医であっても完全に無くすことはできません。
ですが、目視で手術したことが全くわからないようにキレイに目立たなくするコツ・テクニックはあります。これは形成外科ならではの技術です。キズを目立たせないよう縫い方・美しく縫い上げる正しいやり方・コツがあるのです。
手術自体は成功したけど、手術跡が気に入らない・どうしても気になる方にも縫い直しで目立たなくすることはできるということを形成外科医としてぜひ知っておいて欲しいのです。
今回は縫い方ではなく、術後の傷跡を綺麗に仕上げるためのデザインについて解説しますね。
切るフェイスリフトで、手術の痕を残さないように縫うことは可能か?
答えは残念ながら「NO」です。
体にメスを入れるかぎり、傷跡が残ってしまうのは否定できない事実です。どんな名医でもまったく傷跡なく手術することは不可能です。でも、傷跡をほとんどわからないくらいに目立たなくすることはできます。様々なテクニックを駆使することでキレイに仕上げることができるのです。
当院のフェイスリフト手術では、美容外科の基礎となる形成外科の様々な手法を取り入れ、独自の方法でデザイン・切開・縫合を行うことで、傷跡がほとんどわからない仕上がりを実現しています。
論より証拠、実際の症例をお見せしましょう
フェイスラインを引き上げる一般的なフェイスリフトの場合、耳の周りを切ります。古い方法では、もみあげの少し後ろの部分を縦に直線的に切って行っていたので、傷跡がとても目立っていました。
これに対して、当院で行ったフェイスリフト手術後の傷跡の状態はこんな感じです。
どこに傷跡があるのか、わかりますか?手術の傷跡より、ニキビ跡の凹凸肌の方が目立つくらいですね。
実際は下の写真の赤線のように切っているのです。
だいぶ大きく切っていることに驚かれましたか?これだけ切っても手術跡が目立たないようにするマル秘テクニック、具体的に説明していきましょう。
傷跡を目立たせない3つのテクニック
次の3つの効果を利用して切開線のデザインをすると、実際は傷跡があるのに、何もないように目を錯覚させることできるのです。
- カモフラージュ効果
- アコーディオン効果
- ぼかし効果
順番に解説します。
カモフラージュ効果
人間の耳は立体的で、よく観察すると、たくさんの凹凸や溝があり、とても複雑な形をしています。解剖学的には、これらの耳のちょっとした小さなでっぱりや、わずかな切れ込みなどもすべて専門の名称がつけられているのです。
このような複雑な形を逆手にとり、輪郭やシワに沿って切ることで、傷跡が輪郭やシワと重なり合い、目立たなくなる効果です。
アコーディオン効果
直線的な傷跡は引きつれやすく目立ちます。それをジグザグに切ることで、アコーディオン効果(伸び縮みできる柔軟性)により、傷の引きつれを予防し、傷跡を目立たなくする効果があります。
ぼかし効果
直線的な傷跡、特にシワと直角に交わるような傷跡は浮き立って、とても目立ってしまいます。これを改善する方法として、あえてジグザグに切ることで、ぼかし効果となりカモフラージュできるのです。これは形成外科のテクニックの一つであるW形成術という技法です。
W形成術の実例を紹介しますね。
額に縦に残る傷跡を、W形成術で修正した症例
直線的な傷跡を、ジグザグに切り取り、丁寧に縫い合わせます。ポイントはジグザグの一辺をシワの方向に一致させることです。
完成イメージです。
実際の写真
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いかがでしょう?術後の傷跡をよく見ると、細いジグザグの傷跡がありますが、全体としてぼやけて見え、だいぶ目立たなくなっています。
フェイスリフト手術の傷跡の経過写真
これら3種類の効果を取り入れて手術した実際の経過写真がこちらになります。
手術前と手術後を並べてみます。
以上は、デザイン上のポイントでしたが、さらに縫い方についても、傷跡を目立たなくする様々な工夫をしています。縫い方の詳細について知りたい方は以下の記事をご覧ください。
たるみを取る方法は色々ありますが、最も効果があるのは手術
手軽に、たるみを改善する方法として、レーザーや高周波・超音波などで肌を刺激してコラーゲンを増やす方法があります。この方法は、多少肌にハリはたしかに出ます。ハリは出ますがたるみを引き上げるところまではなかなかいきません。
たるみを取る方法として最も効果があるのは、やはり手術法(フェイスリフト手術)です。
でも手術となると、腫れや痛み、また傷跡が残るといった不安からなかなか踏み切れないものです。
たるみ取り手術に対する不安を少しでも減らしたい
これらマイナス要素の中から、今回は傷跡にスポットを当ててみました。フェイスリフト手術をお考えの方が、傷跡に対する不安になることなく安心して受けてもらえたら幸いです。