これまで当クリニックでは脂肪溶解注射やハイフ (高密度焦点式超音波) といった顔やせの施術を行ってきました。
これらの施術方法は、ダウンタイムがほぼない反面、通院が複数回必要なこと、効果に個人差ががあり物足りないことがあるなどの欠点があります。
そのため患者さんから一回だけで済み、効果がしっかり出てかつ長持ちする施術のリクエストを多く頂いておりました。
当クリニックとして様々な方法を検討しました。
顔の脂肪吸引は効果が高い上に持続期間が圧倒的に長く、安全性においても優れているためこれを採用することにいたしました。
施術の方法
- デザインをする
どの部位の脂肪をとりたいのか患者さんの希望を聞いた上でデザインを考え、マーキングをします。
- 脂肪を吸い取るカニューラを差し込む部分に局所麻酔をします。
- カニューラを差し込む部分にメスで数ミリ切り吸い込み口を開けます。
- 吸い込み口から専用のカニューラを差し込んでチュメセント液を注入します。
チュメセント液とは、生理食塩水に麻酔薬と止血剤を混ぜた液で、これを脂肪層にパンパンになるくらい多めに注入します。この液には吸引する時の痛みを取り、かつ術中の出血を抑える効果があるだけでなく、脂肪をふやかしたりほぐしたりする作用もあり、脂肪を吸引しやすくする効果もあります。
- 脂肪吸引用のカニューラの通り道をつけるために、専用の細長い棒を脂肪層に差し込み、無数のトンネルを開けます。
- 脂肪吸引用カニューラを差し込んで、陰圧をかけた注射器で脂肪を吸いとっていきます。
このような感じで吸い出していきます。
上のオレンジ色ぽい部分が実際に吸い取った脂肪です。
- 針を刺した穴を縫ってふさぎます。
- 覆面のようなフェイスバンドという圧迫用の保護具をつけます。
痛みについて
局所麻酔をしますので脂肪吸引そのものは痛くありません。しかし、局所麻酔そのものが痛いので、それを和らげるために笑気麻酔や静脈麻酔も併用することは可能です。
施術後は3・4日程度は痛みが残りますので、痛み止めの内服薬を処方します。
ダウンタイム
美容外科手術で気になるのはやはりダウンタイムでしょう。
ダウンタイムとは術後に生じる腫れ、内出血などが回復して、普段通りの生活に戻るまでの期間のことです。
施術翌日ぐらいまでは生理的食塩水が溜まっていることもあり、かなり腫れたような感じになります。
その後数週間かけて徐々に腫れが治まり、吸引前と同じくらいのボリューム感に戻ります。そこから吸引分の効果が実感できるまでにはさらに数週間かかります。
内出血が出た場合は完全に消えるまでに約2週間かかります。
術後に気をつけていただくこと
腫れや内出血を予防するためにバンテージを2日間はつけっぱなしにしていただく必要があります。
定期検診について
術後経過が順調かどうか確認するために、1ヶ月後・3ヶ月後・6ヶ月後の3回、検診を行います。
吸い出した脂肪で凹みをとることもできます
吸い出した脂肪を捨てるのはもったいないので、注入して顔の凹みを取る治療に使うこともできます。しかし、顔の脂肪吸引で取れる脂肪の量は少ないので、わずかな凹みを一か所のみ埋られる程度です。
顔の凹んでいる箇所に何かを埋める治療には、ヒアルロン酸を使うのが一般的です。
ヒアルロン酸は人間の体内にある成分でもあるので、安全性が高いのが特徴です。その反面数ヶ月~2年程度で吸収されてなくなってしまいます。
これに対して脂肪の注入は自分の体組織そのものなので、注入した箇所に定着して半永久的に残ります。全部の脂肪が定着するわけではないのですが、大体半分ぐらいは残るという感じで、効果がずっと残るのが長所です。
吸い取った脂肪を注入して、上まぶたの凹みや、痩せたこめかみ、こけたほほ、ゴルゴ線、ほうれい線、マリオネット線などのしわの改善をすることができます。これらの部位の脂肪注入にはそれなりの量の脂肪が必要で、顔からとった脂肪だけでは量が足りないので、お腹や太ももなどから採取する必要があります。
危険性について
脂肪吸引の危険性としては神経や血管を損傷させてしまうことがあります。
吸引で使用するカニューラは先が丸くなっているので神経や血管を傷つけることはありません。
また顔面の解剖学的な構造を熟知した医師が施術を行うため、重要な神経や血管のある箇所は避けて施術を行います。