美容外科で行う手術の中でも、隆鼻術は、目の二重手術と並び大人気です。多くの方がプロテーゼを使った鼻の形成手術を受けられています。
しかし、プロテーゼは、本来、人の体の中にない異物ですから、それを長期間体内に埋め込んでいると、いろいろなトラブルが遅れて出てきます。
殆どの方が、一生終えるまでに、必ずトラブルに直面することになるといっても過言ではありません。ですので、今お悩みの方はもちろんですが、トラブルが起こる前にプロテーゼを抜いて元の状態に戻すことを検討されている方は是非当記事をご覧ください。
鼻に入れたプロテーゼは一生もちません
2015年の統計によると、日本人女性の平均寿命は87歳で、過去最高記録となっています。20代でプロテーゼを入れた場合、寿命まで約70年もあります。体内に入れた異物が何もトラブルなく70年ももつことはまずありえません。
当院は、プロテーゼによる鼻のトラブルを専門的に治療している関係で、多くの方が毎日のように相談に来院されます。
プロテーゼトラブルについて、詳しくお話させてください。
プロテーゼによるトラブルの内容は実に様々
実に様々なお悩み、不具合があり、その内容をまとめると以下のようになります。
(1) プロテーゼ自体になんらかの不具合がある方
- プロテーゼはまっすぐ通っているが、位置が正中になく、左右どちらかにずれている。
- プロテーゼがずれて鼻筋が斜めに傾いて見える。
- プロテーゼがずれて、鼻筋が「く」の字、または逆「く」の字に見える。
- プロテーゼが彎曲して、鼻筋が曲がって見える。
- プロテーゼがずれて、その断端が不自然に浮き出て見える。
- プロテーゼがおでこの方にずれて、ブタ鼻のようになっている。
- プロテーゼの上端がグラグラ動く。
上の症例は、プロテーゼはまっすぐ通っていますが、位置が正中になく、向かって左にずれています。
(2) 皮膚に異常がでてきた方
- 鼻先の皮膚が白くなったり赤くなったりする。
- 鼻の皮膚が薄くなり、プロテーゼの輪郭が浮き出てきた。
- 鼻すじが凸凹になってきて、触るとしこりのようなものを触れる。
- 鼻に吹き出物のようなものができてずっと治らない。
- 鼻の一部が赤くなり腫れてきて痛みもある。
- 鼻の一部がただれ、黄色い汁のようなものが出てくる。
- 鼻の皮膚に穴が開き中のプロテーゼが出てきた。
上の症例は、皮膚が限りなく薄くなり、L型プロテーゼの角の部分が丸く浮き出てきています。
上の例は、皮膚が破れ、中から白いプロテーゼが出てきています。
(3) 違和感や異物感が気になる方
- 鼻の部分に圧迫感や違和感、異物感、鈍痛などあって気になる。
- 眉を動かす表情をすると、中のプロテーゼがカクカクと動くような異常感覚がある。
(4) 不自然さが気になる方
- 鼻の部分だけやけにつるっとしていて不自然にてかる。
- 写真を撮った時に鼻すじが異常に光って写り不自然。
- 笑った時に鼻先がとがったように見えて不自然。
- 鼻すじがあまりにも直線的に見えて不自然。
- 鼻根部が高すぎて、ギリシャ彫刻のような不自然な鼻になっている。
- 鼻のプロテーゼがつっぱって、自然な表情ができない。
- 顔のあちらこちらにシワが刻まれて老化しているのに、鼻の部分だけはやけにツルッとしていて不自然。
- 鼻の穴の形が左右非対称である。
上の例は、プロテーゼが原因で、鼻筋が異常にテカっています。
(5) 異物を入れていることによる不安感が強い方
- プロテーゼが飛び出てくるのではないかと不安で夜も眠れない。
- 花粉症になってしまい、鼻をかんだり、触ることが多くなり、プロテーゼに影響するのではないか心配。
- 交通事故で鼻をケガした時に、プロテーゼが傷口から飛び出てきた話を聞いて怖くなった。
- プロテーゼのことが気になって、うつぶせで寝たり、鼻をかんだり、つまんだり、触ることさえできなくなってしまった。
- 子供がまだ小さく、手加減なく鼻をぎゅうぎゅうつまんできたり、叩かれたり、ふざけて足が当たったりするたびに恐怖を感じる。
(6) プロテーゼを入れていることを他人に知られたくない方
- レントゲンや、CTなどの検査をした時にプロテーゼが写るのではないか不安である。
- 恋人に鼻の整形のことは秘密にしているが、ばれるのではないかと不安である。
- 高齢になり、死んだときにプロテーゼのことがばれないように今のうちに抜いておきたい。
上のレントゲン写真では、赤の点線の丸の部分にプロテーゼがはっきりと写っています。
(7) プロテーゼを入れていることでやりたいことができない方
- エステなどでフェイシャルマッサージや美顔治療を受けたいのに、鼻のプロテーゼのことが気になって行けない。
- スポーツをやりたいが、鼻にプロテーゼを入れているので、ケガが怖く、我慢している。
(8) プロテーゼを入れたことで精神的な問題が発生してしまった方
- 整形後、他人に自分の鼻のことをじろじろ見られているような気がして、対人恐怖症になってしまった。
- 少しだけきれいになりたいと思って整形したのに、かえって元の鼻より醜くなったような気がして後悔と罪悪感に苦しめられている。
このように、鼻にプロテーゼを入れた後に、いろいろなトラブルや悩みが出てきて困っている方がたくさんいらっしゃいます。
プロテーゼが原因のトラブルはプロテーゼを抜いて自己組織に入れ替えるのがベスト
プロテーゼが原因で、様々な不具合が生じた場合は、プロテーゼを抜いて、自己組織に入れ替えるのがベストの治療法です。
手術についての詳細は自家組織移植で鼻プロテーゼトラブルを解決をご参照ください。
実際の治療例をご覧ください。
鼻筋がずれてしまった例
左が術前、右が術後6か月の状態の写真です。向かって左方向にずれていた鼻筋がまっすぐ中央にきれいに通っています。また、不自然な棒状に浮き上がっていた鼻筋が自然なラインに落ち着いています。
プロテーゼの輪郭が丸く浮き出た例
左が術前、右が術後6か月の状態の写真です。丸く浮き出ていた部分がなくなり、自然な形に改善されています。
皮膚に穴があき、プロテーゼが飛び出してきた例
左が術前、右が術後3か月の状態の写真です。穴がふさがり最少の傷あとで修正できています。
移植した自家組織は、完全に自分の鼻と一体化してなじんでしまうので、つまんだり、押さえたりしても、組織がずれることもなく、触った時の感触も、何も手術していない人の鼻を触るのとほぼ同じで自然です。
子どもにつままれても、少々たたかれても、移植した組織がずれることはありません。また、鼻先を上の方向に押し上げ、ブタ鼻のようにすることも、鼻先をつまんで左右に揺らしたりすることも自由自在です。
移植した自家組織はレントゲンにも写りませんし、年をとれば鼻の部分も自然に老化していきます。
また、万が一鼻をケガして、皮膚が裂けたとしても、異物が飛び出てくる心配もなく、普通の人の傷が自然に癒えるのと同じように傷が治ります。つまり、何も手術をしていない人の鼻とほとんど同じ状態に戻せるのです。