前回お伝えしたシミのなかで単発で出現することが多い老人性色素斑(SK)別名脂漏性角化症とか日光黒子と呼ばれるもの治療について詳しくお伝えしていきます。
ほっとくと厚みが増していきます
このシミは単発で顔や背中などにできやすいものです。
原因は紫外線に当たったことによります。顔に現れるシミの中で一番ありふれたものです。
形は不定形で、大きさもまちまちです。しかし、次第に大きくなる傾向があり、色もだんだんと濃くなって行きます。
さらに厚みが増していき、盛り上がっていく傾向があります。顔でも特に側面に現れることが多いシミです。
早めの治療は前回お伝えしたQスイッチYAGレーザーを使って、無麻酔または貼る麻酔、塗る麻酔で治療が可能ですが、放っておくとこんな状態まで成長します。
このような状態まで放置していると、QスイッチYAGレーザー単独の治療は難しくなってきますし、麻酔も注射を使った局所麻酔が必要となってきます。
厚みがましたシミは麻酔は注射を併用
局所麻酔はキシロカインという局所麻酔剤を使用します。ただのキシロカインですと、麻酔が効いている時間が短めなのでエピネフリンという薬を含有しているものを使用することがレーザー治療では多くなっています。このエピネフリンは血管を収縮させて長時間その場所(局所です)に麻酔薬が効果を発揮させることが出来ると同時に血管収縮作用によって出血を抑える働きをします。私たちはE入りキシロカインと呼んでいます。
これをシミの部分に注射してから治療を行っていきます。当院ではこの局所麻酔の注射を患部にする場合、気を付けていることが二点あります。まずは注射針は極細針を使用することです。それによっていわゆる注射の痛みを患者さんが感じないように気を付けています。二点目はさらに痛みを軽減するためにご希望の方には麻酔の注射をするための麻酔(塗るもの、貼るもの)を行うこともあります。慣れた方であれば局所を一瞬冷却して、即座に極細針で注射をすれば、全く気が付かないうちに、麻酔が完了します。
早めの治療が楽です
麻酔は5分くらいから完全に効果を表します。患者さんは無痛下で治療を行うことが可能なのですが、なぜ厚みを持ったシミはここまでしないといけないのか?と素朴な疑問を持たれたと思います。前回はQスイッチYAGレーザーの一瞬の治療でシミが取れることをお伝えしましたが、厚みがあるシミは違うレーザーを使用しなければならない為です。
盛り上がったシミには炭酸ガスレーザー、別名CO2レーザーを使用します。皆さんがレーザーにもつイメージはこの機種だと思います。映画などで細い赤い光線がでて、敵の武器を焼切ったり、殺人光線的に扱われることがありますね。でも、実際は赤い光はガイド光線と言って、私たちが治療する部分に確実にレーザーが照射されることを教えてくれるものであって、実際はレーザーを光線として認識できるわけではありません。CO2レーザーは熱を使ってシミを蒸散させることで治療効果を表します。決して焼いて消すわけではありません。この熱が高温になるために、長々と述べてきた麻酔が必要となるのです。厚みを増したシミの治療は厚みが薄い初期のシミにくらべ治療に手間がかかりますので、シミの治療はなるべく早めをお勧めします。