ホクロはレーザー治療でカンタンに取ることが出来ます。小さいホクロなら一瞬です。大きなホクロはちょっと時間かかりますが、取ったあとの傷痕が痛むようなこともありません。レーザー治療ときくと、レーザービームをイメージされるかもしれませんが、全然違います(笑)ホクロは気になっている方は、思いついたときに取ってしまうのも良いと思いますよ。
ホクロと悪性黒色種・メラノーマについて
ホクロはだれにでもある皮膚の症状です。それが問題になるのはホクロ自体を本人が気にするか、しないかであって病気として捉えることは保険診療の場合しません。しかし、顔などの目立つ箇所にある場合、他人に対するイメージはもちろんのこと、毎日眺める鏡の中の自分に対し「このホクロが気になるな」と思って来院するかたがほとんどです。ホクロ自体が悪性黒色腫と呼ばれる皮膚のがんの場合はもちろん保険診療の対象になりますが、大部分は美容的な問題なので、残念ながら保険診療外の自由診療となってしまいます。
メラノーマ・悪性黒色腫の特徴
悪性のものは、形が不整形であり、周囲が整っていなくて左右不対称で、色も不均一で、大きさが成長するという特徴があります
旧式のホクロの治療方法
保険診療の場合の治療の王道は「切除縫縮」と呼ばれる方法が取られます。ホクロの部分をメスで切って、ホクロを取り除いたあと、針と糸で縫い合わせます。この治療は病変部を取り除くことが主目的なので、傷痕の綺麗さは二の次になってしまいます。
大病院の皮膚科などで行う場合は医師免許とりたてのフレッシュマンの練習?として行われることが多いので、さらに仕上がりが綺麗になることを求めてはいけません。
また、レーザー等の設備がない施設では、液体窒素によって凍傷状態にホクロをすることによって取り除く場合もあるようですが、美容皮膚科と標榜している当院のようなクリニックでその治療は許されるものではありません。
なぜならば、ホクロの周囲の健常な皮膚にもダメージを与えてしまうからです。ホクロの部位だけを冷却することは不可能ですので、ホクロの周りの皮膚も一緒に取り除くことになるために、予想以上に広い、大きな傷跡が残ってしまう可能性があるためです。
ホクロをレーザーで取るという治療法
そこでレーザー治療の登場です。レーザーは高温のエネルギーを短時間、焦点を絞って⋯つまり余計な範囲に影響を及ぼさないでホクロのみを取り除くことが可能なのです。だからこそ「美容皮膚科」と名乗っている施設では各種レーザーを用意して、疾患に適した治療を行わなければならないのです。
レーザーは炭酸ガスレーザーを選択する場合が多いようです。炭酸ガスレーザーはCO2レーザーとも呼ばれるもので、レーザーを発振するために炭酸ガスを使用しているものです。っていわれても想像がつかないと思いますが、皆さんがお持ちのレーザーに対するイメージである「赤い光がピーっと直進して、目標を焼く」殺人光線的なものです。このレーザーは水に対する吸光度が良いために、切ること(切開)や取り除くこと(蒸散)が得意なレーザーです。しかし、弱点もあります。
光の特徴である色に対する波長をもっていませんので、組織選択性がないので、未熟な術者が操作をすると、目的の場所以外に当たった場合、その場所の組織が蒸散してしまいます。
実際に私も医師になりたての頃、耳鼻科の医師が炭酸ガスレーザーを使用して喉の治療をするときに、手がぶれたのかレーザーがあらぬ方向に照射され、一瞬のうちに患者さんの下唇の一部が消え去ったのを目撃したことがあります。
ホクロの治療はまず、ホクロ周囲に局所麻酔をすることから始まります。十分に麻酔が効いたと判断されたらいよいよレーザーの照射です。一般的にレーザーが照射されていることを周囲にわかるように「ピー」と音がしますが、レーザー発振に必ず必要な音ではありません。
映画の殺人光線のようにレーザーは色はついていません
殺人光線」イメージの赤い光ですが、これも炭酸ガスレーザーに必ずしも必要なものではなく、どの場所にレーザーが当たっているかを術者に知らせるためのガイド光であってLEDなどによって照射されています。
小さなホクロなら照射時間はコンマ一秒くらいから数秒で終了です。大きなものはその作業を繰り返していき、患部全体が蒸散するまで続けられます。治療後、傷痕が痛むようなことは通常あり得ません。病変部の大きさにもよりますが、被覆材を使用することもあれば、塗り薬を塗っておしまいの場合もあります。日常生活の制限は入浴を含めて当日から一切ありません。一週間後くらいに傷の仕上がりを見せて頂いて治療は全て終了となります。