ケミカルピーリングが市民権を得て10数年が経ちます。
私たちが始めたころは「皮膚が薄くなってしまう」といって非難していた医師もいました。
2001年位から皮膚科学会で「ケミカルピーリングのガイドライン」をいうものを作成し出したことにより、その効果が認められたと共に使用に関しての基準が提案されました。
ピーリングの強さは最強?のサリチル酸ピーリング
多くの薬剤が使われていますが、特殊なものを除くと次に三つに代表的なものと思われます。
グルコール酸<サリチル酸<トリクロロ酢酸
右に行くほど強力になってきます。トリクロロ酢酸を顔全体に使用することは日本では私が知る限りは行われていないはずです⋯副作用が強すぎる!
サリチル酸の構造式です
グルコール酸はサトウキビなどから抽出された成分を使用しますので、あまりリスキーではなく、ピーリング慣れしていない患者さんはもちろんのこと、治療経験が浅い医師にも気軽に施術が可能となっています。しかし、途中で反応を止めるため中和剤を使用する施設もあります。
と、言うのはグルコール酸も濃度によっては、肌に対して必要以上の効果を発揮してしまいますので、治療する施設を選択するときは経験数に注目する必要もあると思います。
簡単に考えていいのかな?サリチル酸ピーリング
今回、このブログを書こうとしたのはアメリカでTVを見ていた時、はっと気付いたのですがあのプロアクティブが切っ掛けでした。プロアクティブは主成分がいくつかあるのですが、サリチル酸も入っていることをこCMでは強調していました。
さっそく濃度をしらべると2%になっていました。私たちがクリニックで使用するサリチル酸は10倍以上の20-30%、中にはもっと高濃度のものを使用する場合もあります。2%くらいなら問題ないな、と考えながらサリチル酸ピーリングを始めたころの苦労を思い出したのです。
喘息があるとサリチル酸ピーリングはできない?!
喘息を誘発する物質としてアスピリンがあります。市販薬でもアスピリンが入っているものには、喘息の既往がある方は薬剤師、医師に相談してくださいと書いてあるはずです。アスピリンもサリチル酸も解熱剤として使用されることが多いのですが、両者の構造は非常に似通っています。
そのためにアスピリンで喘息発作を起こしたことがある人はサリチル酸でもリスクが否定できないので、たとえ皮膚に使用する場合でも避けた方がいいと私たちは考えていました。その当時はあまり経験数がなかったのでその選択は間違ったものではなかったと考えます。
そこでピーリングを積極的に研究している人々がサリチル酸を溶かし込んでいる基剤に工夫をすうことで、皮膚だけに効果を発揮させ、体内には吸収しない薬剤が開発できないか?と徹底的に研究をしました。そこで到達した結果がマクロゴールと言われるものを基剤として使用する方法です。
サリチル酸ピーリングはどのような症状に効果が期待できるか?
サリチル酸ピーリングは次のような皮膚の症状に効果があります。
- にきび
- 炎症後色素沈着
- 薄いシミ・肝斑
- 日光性角化症
上記の中ではにきびに対しての推奨度がガイドラインでは一番上位とされています。ニキビと言ってもいろいろな症状が混在していますが、殆どの状態にしようできます。
さすがにここまでの効果は無理です❗
一点だけ、全く効果が期待できないのはへこんだニキビです。これには全く効果がありませんので、もしプロアクティブを使用していて、凹んだニキビ跡も治療できると思っていたらそれは間違いですのでご注意ください。
当院の方針として、ニキビの治療で来院された方に対して、化粧水などの基礎化粧品の変更を患者さんに求めることはあまりありません。洗顔料もこれを使わないと治りません的な指導をしているクリニックもあるようですが、そのようなアドバイスをすることはありません。
ピーリングは当院にお任せいただき、家庭では極々一般的な注意でにきびを改善させる自信と経験が私たちにはあります。