恥ずかしながら実は私、美容医療を行うようになって法令線(ほうれいせん)という言葉を初めて知りました。医学的には鼻唇溝と呼びます。この法令線は豊麗線なんて素敵な字で表現する場合もありますし、豊齢線と書くこともあります。
みなさんは「ほうれいせん」てごぞんじですか?
私は何で「ほうれいせん」と呼ぶのか理由が分からなかったのですが、美容専門の松下医師に尋ねたところ「ほうれいせん」は面相学、占い用語だと教えてもらいました。ハッキリ確定した文字がありませんので「ほうれい線」と書かせていただきます。
シワ治療にコラーゲンは今は使われないようになりました
以前はほうれい線の治療にはコラーゲンが主に使用されていました。コラーゲンの効果はなかなか評判がよかったのですが、一つだけ欠点があります。古い時代に使用されていたコラーゲン(1970年代)は牛由来のコラーゲンでした。狂牛病等の問題が発生して使用できなくなったのです。
その後ヒトの皮膚をもとにした安全なコラーゲンが開発され、日本の美容治療ブームに乗って大ヒットしました。しかし、これにも欠点がありました。コラーゲンは異種蛋白であるために、数パーセントの方がアレルギー反応、拒絶反応が確立的に起こってしまうのです。
そこでヒアルロン酸が登場しました。
ヒアルロン酸は色々な場所に使用が可能です
ヒアルロン酸とは?
ヒアルロン酸は元々人間の体にある成分ですし、異物として認識しませんので事前にアレルギー反応、拒絶反応を調べるための皮内テストの必要性がありません。
また分子量を変えることができますので軟らかいヒアルロン酸~硬めのヒアルロン酸の複数のラインナップが現在ではありますので、部位に応じたヒアルロン酸を適切に選択することが可能となりました。
これは柔らかめのヒアルロン酸です 目のまわりなどに使用します
額、眉間にも使用されますが、今回はほうれい線の治療に対して考えていきます。
ほうれい線に対するヒアルロン酸の効果
ヒアルロン酸の利点は治療直後から効果を実感できる点です。ヒアルロン酸を細い針でほうれい線に沿って注入していきます。針を使うので内出血のリスクがありますが、当院では特殊な方法で注入しますので現時点で内出血で困った状況になった経験はありません。
痛みに関しても針の痛みは塗る麻酔や貼る麻酔で回避することができますし、なれた方ですと冷却麻酔のみで治療を行っています。
ほうれい線はたるんだ頬の筋肉・皮膚がさらに重力の影響で下に垂れ下がって生じます。たるみについて以前ブログに書きましたのでご参照ください。本来ならば皮膚を引き上げるリフトアップの治療が必要ですが、この症例にあるような軽度のほうれい線であればヒアルロン酸の注入で解決します。
効果の持続ですが、ほうれい線に対しては比較的硬めのものを使用します。ヒアルロン酸は固めの方が持続性は優れています。なかにはハイドロキシアパタイトが含まれた非常に硬いヒアルロン酸もありますが、異物を使用しないところがこの治療法の利点でもありますので、当院では採用しておりません。