鼻プロテーゼの輪郭が浮き出てしまった症例

鼻整形

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今回ご紹介するのは、29歳、女性Hさんの鼻トラブルです。

Hさんは、約10年前に、全国にチェーン展開する有名な大手美容外科クリニックにて鼻にL型プロテーゼを入れました。術後の仕上がりにはとくに不満なく、順調に過ごしてきました。

 しかし、2~3年くらい前から、鼻筋が右側にずれてきたのと、鼻先に丸くプロテーゼの輪郭が浮かび上がってきたのが気になり始めました。また、鼻筋が異様に光って見え、いかにも中に硬い棒状の異物が入っていますというのがわかるくらいに輪郭が浮き上がって見えて、整形したのがバレバレの鼻になってしまいました。

L型プロテーゼの輪郭が浮き出てきた!

初診時のHさんの写真がこちらです。

鼻に入れたプロテーゼの輪郭が浮き出て来てしまった症例写真
わかりやすく黒い点線で強調

正面から見ると鼻筋全体が向って左側に偏っています。また、鼻先の皮膚が白く変色し、少し丸く突き出ているように見えます。

鼻に入れたプロテーゼの輪郭が浮き出て来てしまった様子をしたからみた写真
わかりやすく黒い点線で強調

下から見ると、鼻先に丸いでっぱりがあるのがよくわかります。その部分を触ると皮膚がとても薄くペラペラになっています。L型プロテーゼの角の部分が皮膚の裏側から突き上げていて、今にも皮膚を突き破りそうな状態です。

鼻に入れたプロテーゼの輪郭が浮き出て来てしまった様子を横から写した写真
黒い矢印部分

横から見ても、鼻先のやや下の部分に不自然な段差が見られます。

L型プロテーゼによるトラブルの典型

L型プロテーゼで一番問題なのが、90度折れ曲がる角の部分が鼻先の皮膚を裏から圧迫して、皮膚がだんだん薄くなってくることです。そうなると中のプロテーゼが透けて見え、皮膚が白っぽく見えたり、圧迫された皮膚が血流障害を起こし赤く変色したりします。さらに皮膚が薄くなると、プロテーゼの輪郭が丸く浮き出てきて、最悪の場合は皮膚が破れ、プロテーゼが飛び出してくることがあります。

今回のHさんの症状は、まさにL型プロテーゼによるトラブルの典型例ですね。

このまま放置すると、皮膚が赤くなり、小さな穴が開いてそこから汁が出てきたり、化膿して腫れたりするようになります。(下の写真は別の症例です)

プロテーゼが鼻の先端から飛び出しそうになっている写真
プロテーゼが鼻の先端から飛び出す寸前

ここまでくると、限界です。すぐにでもプロテーゼを取り出さないと皮膚に大きな穴が開いてプロテーゼが飛び出てくる危険性が大です。

そのまま放置すると、別の症例ですが、下の写真のように白いシリコンが飛び出てしまうのです。こうなると、穴が開いた部分に永久に傷跡が残ってしまいます。

プロテーゼが原因で鼻先の皮膚に開いてしまった穴を塞ぐ治療の様子
プロテーゼが鼻の先端から飛び出た状態

唯一の治療法は自家組織移植法

このように、異物によって薄くなってしまった皮膚の厚みを戻す方法は自家組織移植しかありません。

クリニックによっては、L型プロテーゼを抜いて、薄めのI型プロテーゼに入れ替えるところもありますが、異物を入れ続ける限り皮膚の厚みを戻すことはできません。

また、L型プロテーゼの角に圧迫され丸くもりあがっていた部分は、プロテーゼを抜くだけだと、その部分が逆にへこんでしまう(陥凹変形)可能性が高いので、自己組織を移植してへこみを埋め合わせる必要があるのです。

Hさんは当院にて、プロテーゼを抜いて、自己組織(筋膜、軟骨)に入れ替える手術をおこないました。

手術前後でどのように改善されたか見ていただきましょう。上が術前、下が術後6か月の状態の写真です。

鼻に入れたプロテーゼを抜いて自家組織移植したビフォーアフター写真(正面)
術後6ヶ月の様子(正面)

向かって左方向にずれていた鼻筋がまっすぐ中央にきれいに通っています。また、不自然な棒状に浮き上がっていた鼻筋が自然なラインに落ち着いています。

鼻に入れたプロテーゼを抜いて自家組織移植したビフォーアフター写真(下から撮影)
術後6ヶ月の様子(下から)

丸く浮き出ていた部分がなくなり、自然な形に改善されています。

鼻に入れたプロテーゼを抜いて自家組織移植したビフォーアフター写真(横から)
術後6ヶ月の様子(横から)

横から見ると、鼻先の段差が改善され、不自然な溝状の陰も消えています。

松下洋二(医師)

鳥取大学医学部卒業後に京都大学医学部形成外科に入局。大学附属病院などで形成外科・美容外科で働いた後、2007年より五本木クリニックの美容診療部の部長に就任。

主に他院での鼻整形の失敗で悩む患者さんからの修正依頼に応えて続け20年以上経ちます。こんな私の強みは、施術後、時間が経つと一体どんな影響を及ぼしていくのか、その未来について予測ができること。医師としてこれまで患者さんと向き合ってきた経験を現場で活かすだけでなく、読者の皆さんにとって少しでも有益な情報になるよう情報発信に努めてまいります。

松下洋二(医師)への相談窓口

0120-70-5929

10:00~18:30※日曜日•祝日は休診

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