日本人を含むアジア系の美容整形で一番多く行われている手術は一重まぶたを二重まぶたにする治療です。
この二重まぶた手術は大きく分けて「切る手術」と「切らない手術」があります。
アイプチやメザイク・糊などで二重にしていた方が、面倒・時短のために埋没法に踏み切るケースが多いようです。何よりすっぴんになれる・化粧しなくてもいいというのが女性にとって大きなメリットでしょう。
二重の手術をしたら費用は給料の10ヶ月分で、結果は悲惨
切る手術の方が切らない手術と比較して高額になりがちなんですけど、先日こんな記事を見つけました。
20代女子が整形に給料10カ月分を費やす → とても整形したとは思えない姿に⋯それでも費用は支払うべき? ネットでは賛否両論月給5万円の中国人女性が美容整形クリニックで二重まぶたにする手術(切ったか、切らないかは不明)を受けたところ、このような状態になって、さらに術前とは変わらない顔であったとのこと。美容整形クリニックに返金を求めたけど、手術費用は正当な価格であり返金に応じないので、SNSに投稿したところ話題になったそうです。
このように美容整形はとかくトラブルが起きがち、と一般的には考えられています。
日々、女性心理がわかっていないとの評価を受ける私は「アイプチで対応すればいいんじゃないの」と考えて当院で行なっている二重まぶたにする手術は積極的にアピールしてきませんでした。
でも、希望者は多いので実際に当院ではどのように二重まぶたにする手術を行なっているのかをお伝えします。
中国の例、料金的には明らかにボッタクリだと思います。しかし最近めちゃくちゃ安い価格で二重まぶたの手術を行なっている美容クリニックがありますが⋯
あまりにも安い手術料金はどうなのよ、とも思いますが、あまりにも高額な手術費用も中国のようなことになる可能性もあるわけで⋯治療を受けようと考えている方は手術のいい面だけではなく、悪い点もあることを十分に知っていただきたいと思います。
切らない二重まぶたにする手術であっても、事前に注意を知っておいてください
切る手術より安易に二重が実現すると考えられている切らない二重まぶたの手術は「埋没法」と呼ばれています。こんな感じの治療です⋯「切らない二重 (ふたえ) 形成術」
動画だとざっくりでも二重まぶたの手術の流れがご理解いただけるのでは。当院で若干一名の医師が動画作りに凝っています。バックの曲は彼のオリジナルだよ。
美容整形は緊急性はない手術であり、一般の手術とは違った考えが前提となっています
不急の手術であり、生命や病気を治療するための外科的手段ではありません。法的に言うと異常経過に対しては緊急避難などを主張することは困難と解釈されることが多いので、とにかく術前の十分な説明がなせれているかをチェックポイントとしてください。
二重まぶたにする手術(埋没法)でありえるトラブル
二重まぶたの手術はほとんどの場合、両側が同時に行われます。
すると
ありがちなトラブルとして「左右差」が挙げられます。
手術をしたけど右と左の二重の見た目が違うことになってしまう原因をいくつか挙げてみます。
まず眉毛の位置、皮膚の緊張度、目の大きさ(目の切れ目、医学用語だと眼瞼裂)、二重の幅や形状、蒙古ひだ(医学用語だと内眼角贅皮)、上まぶたの構造は元々左右差があるのが普通です。さらに目を閉じる筋肉である眼輪筋や二重を作る筋肉、皮下脂肪の量、眼球の突出度も元々左右差があります。この元々の左右差はさらに加齢によって強くなっていくのが一般的です。
つまり二重まぶたの手術は完璧に左右対称に仕上げることは無理なのです。
また蒙古ヒダの立ち上がり角度の差が大きいと二重まぶたの手術は蒙古ヒダ近くからしっかり二重にしようと思うと一方の瞼は蒙古ヒダの上に出来、もう片方は蒙古ヒダの下から二重まぶたが出来上がることもあり、これも左右差の原因になります。
二重まぶたの手術でありえる合併症
埋没法は切らない手術なので、術後も安心的なことをアピールしている美容クリニックもあるようです。
五本木クリニックでは術後の合併症の注意はしっかり術前に説明しています
術後に非常に稀ではありますが上まぶたが閉じ難いとおっしゃる患者さんがいます。あるいは瞼が垂れ下がって見える、目やにや涙がでる、眼の中がゴロゴロする、まつ毛が妙にカールして見える、などです。稀な合併症でもできる限り説明をするべきですし、患者さんも尋ねるべきです。
今あげた合併症のほとんどは一時的なもので自然に改善されますのでご安心くださいね。
あと切らない二重まぶたの手術である埋没法の特徴的な合併症として、糸の結び目が瞼の皮膚の下に透けて見えてしまう、というのがあります。これは患者さんご本人は気になって気になってしかたがないと思われます。でも、ご安心ください、糸は3ー6ヶ月くらいで徐々に瞼の深いところに移動して目立たなくなります。
これは非常に稀ですが、埋没法に使用した糸の周囲がシコリになったり、感染症を起こしてしまう場合もあります。そのような場合は抗菌剤を服用していただきます。感染が原因で明らかに糸が飛び出してしまった場合はせっかく埋め込んだ糸ですが、抜去させて対応いたします。
問題はシコリです。多くの場合は抗菌剤の処方によって軽快しますが、それでもダメな場合はシコリの切除を行う必要がある場合も無いわけではありません。
切らない二重まぶた手術、埋没法の限界
切らない二重まぶたの手術である埋没法は言葉はよくないかもしれませんが「仮縫い状態」です。切る手術と比較した場合、一重まぶたに戻ってしまう確率は10倍くらいあります(当院調べ)。
特に上まぶたを引き上げる筋肉である眼瞼挙筋が弱い、上まぶたの皮膚が厚い、上まぶたが弛んでいる皮膚の量が多い、上まぶたの皮下脂肪が多い、眼窩脂肪が多い、コンタクトレンズを使用している人は埋没法だと一重に戻る確率が高い傾向があります。
あと、これは本当にしかたのないことなのですが⋯どんな方法で二重まぶたの手術をしても加齢に伴い二重の幅は狭くなるのです。
埋没法による、切らない二重まぶたの手術ですけど、よくよく説明を受けてから治療に入りましょう❗
再手術が必要になることもあります
埋没法で二重にしても、やっぱりやーめた、という方はゼロではありません。元の一重まぶたの方がいいよと周囲の方に言われたり、ご自身で鏡を覗き込んで元に戻そうと判断される方もいるわけです。そんな場合は埋没法による二重まぶたの手術を受けて二週間後以内なら埋め込んだ糸を取り除くことで、ほぼ100パーセント元に戻せます。また、手術を受けてそれ以上の時間が経過しても糸を抜くことは可能です。しかし、すでに癒着が生じているとすぐには元の一重まぶたには戻りません。
埋没法を選択して二重まぶたの手術を受けてもすぐに一重まぶたに戻ってしまったり、二重まぶたを調整するために埋没法を行なっても思ったような形状にならない場合は複数回埋没法を繰り返すこともあります。それでも望んだ二重瞼にならない場合は当院では切る二重まぶたの手術である切開法を提案することもあります。
こんなしちめんど臭い説明や能書きを垂れる当院ですが、なぜかアピールもしないのに二重の手術はコンスタントに行われています。小うるさいクリニックですが、二重まぶたの手術を検討されている方はお訪ね下さいませ。