鼻のプロテーゼに潜む7つの危険性

鼻整形

鼻を高くするためにプロテーゼを入れる場合に知っておくべき7つの危険性

初めて隆鼻術を行う場合に、最適な方法はプロテーゼ法とされています 。隆鼻術は、美容外科で行う手術の中で、目の二重手術と並び大人気です。多くの方がプロテーゼを使った鼻の形成手術を受けています。

鼻プロテーゼには手軽に希望の鼻の形にできる上にヒアルロン酸のように体内に吸収されない・傷跡も鼻の内側なので見えないというメリットがある一方で、デメリットもあります。

プロテーゼとは

プロテーゼとは外科手術でも用いられているシリコンでできた人工軟骨のことです。軟骨と同程度の硬さであるため、鼻を高くする隆鼻術に用いた場合に外観の違和感がないことなどからよく使用されます。

プロテーゼには次のような5つのメリットがあります。

  1. 自家組織移植のように体の他の部位に傷がつくことがない。
  2. 細工が容易である。
  3. 吸収されないので術後の仕上がり具合を予測しやすい。
  4. いざとなれば簡単に抜くことができる。
  5. 手術手技が難しくないので経験の浅い医師でもできる。

しかし、鼻に入れたプロテーゼは一生トラブルとは無縁というケースは稀です。プロテーゼを入れる段階で精密に検査し、それに合わせた完璧なプロテーゼが用意できればトラブルのリスクは減ります。最近は少しずつそのような施術も増えてきました。ただ、実際のところ、オーダーメイドプロテーゼと謳っていながら大量生産された既製品を調整しているだけということも。

プロテーゼは、本来、人の体の中にない異物です。ですから、それを長期間体内に埋め込んでいると、いろいろなトラブルが遅れて出てくるのです。

プロテーゼにはリスクがある

2017年の統計によると、日本人女性の平均寿命は87.26歳で、過去最高記録となっています。20代でプロテーゼを入れた場合、寿命まで約70年もあります。体内に入れた異物が何もトラブルなく70年ももつことはまずありえません。

そのため、将来起こりえるリスクを知り、そのような兆候が現れたら、鼻の修正を専門にしているクリニックを受診し、早めに適切な処置をすることで、鼻の形が崩れることなくトラブルを解決することができるのです。

鼻にプロテーゼを入れた後、起こりうる7つの危険性

プロテーゼがずれたり曲がったりする

プロテーゼは異物なので体になじむことはなく、鼻に外力が加わった場合にずれたり曲がってしまうことがあります。

また、プロテーゼを埋め込む際に、鼻根部では鼻骨の骨膜の下にプロテーゼの上端を差し込んできちんと固定するのが原則です。しかし、この処理がされず、骨膜の上にプロテーゼを乗せただけの手抜き手術があり、その場合は、プロテーゼの上端がグラついたり、額の方へずれていってブタ鼻のようになったりすることがあります。

斜めにずれてしまった鼻プロテーゼ

上の症例は、プロテーゼが斜めにずれています。

皮膚が異様にてかったり、赤くなったり白くなったり変色する

長年プロテーゼのような異物が入っていると、裏側から皮膚や皮下組織を圧迫し続け、皮下脂肪は溶けてなくなり、さらに皮膚までもが薄くなってペラペラになります。薄い皮膚の直下に硬い異物が入っているので、鼻の部分だけはプロテーゼでつっぱってツルツルになり、不自然に光ったり、てかったりします。さらに、中のプロテーゼの色が白っぽく透けて見えたり、異物に圧迫されて血流が悪くなるため、さらに白くなり、特に冬場に冷たい風にあたったりすると、血の気のない真っ白な鼻になってしまいます。血流障害が続くと、うっ血して皮膚が赤く変色することもあります。

鼻先に浮き出てきた鼻プロテーぜ

上の症例は、皮膚が限りなく薄くなり、鼻先の皮膚が赤く変色し、L型プロテーゼの角の部分が丸く浮き出てきています。

感染を起こし赤くなって腫れる

 プロテーゼのような異物は感染に弱いので、鼻に大きなおできができたり、不潔な指で鼻の穴の中をいじったりすると、容易に感染を起こします。早めに適切な抗菌剤を投与し治療すれば薬で抑えることも可能ですが、何度も感染が再発したり、2週間以上投薬を続けても感染が落ち着かない場合にはプロテーゼを抜かない限り化膿が治らないという危険性があります。

鼻プロテーゼによって壊死してしまった症例

上の症例は何度も感染を繰り返し、皮膚の一部が壊死を起こした例です。

違和感や異物感が気になる

本来、体内にない異物を無理やり入れているわけですから、その部分に圧迫感や違和感、異物感、鈍痛などが生じることがあります。そうなると、異物を取り出さない限り治りません。そのまま放置すると、頭痛や肩こりなど他の部分にも影響が出てしまうことがあります。

プロテーゼを入れていることを他人に知られてしまう

レントゲンや、CTなどの検査をした時にはプロテーゼが写ってしまいます。また、他人に鼻を触られると皮下に硬い異物を触れるので、鼻の整形をしたことがばれてしまいます。

鼻のレントゲンに映ってしまうプロテーゼ

上のレントゲン写真では、赤の点線の丸の部分にプロテーゼがはっきりと写っています。(出典:http://gngplasticsurgery.blogspot.com/2017/06/gng-i-want-to-get-rhinoplasty.html)

皮膚に穴が開いてプロテーゼが飛び出してくる

プロテーゼにより薄くなってしまった皮膚をそのまま放置すると、最悪の場合、皮膚が破け、そこからプロテーゼが飛び出してくることがあります。L型プロテーゼの場合は鼻先に穴があくことが多いですが、時には鼻根部や鼻の穴の中から飛び出てくることもあります。また、交通事故やスポーツ中のケガなどで鼻に傷を負った時に、傷口からプロテーゼが飛び出してくることもあります。

プロテーゼが鼻から飛び出してしまった例

上の例は、皮膚が破れ、中から白いプロテーゼが出てきています。

プロテーゼを入れたことで精神的な問題が発生してしまう

恋人や配偶者、子どもなどとスキンシップする際、鼻のプロテーゼのことが気に掛かって自然に触れ合えなくなり、対人恐怖症のような症状が出ることがあります。また、少しだけきれいになりたいと思って整形したのに、かえって元の鼻より醜くなったような気がして後悔と罪悪感に苦しめられる方もいます。整形後、鼻のことばかりが気に掛かるようになり、過度の不安・心配がつきまとう不安神経症のようになる方もいます。

根本治療は異物を抜いて自己組織に入れ替える方法です

このように、鼻にプロテーゼを入れた後に、いろいろなトラブルや悩みが出てくる可能性があります。

このうち、(7)に関しては、精神科や心療内科など心のケアをしてくれる専門家との協力を仰ぎながら治療をしていく必要があります。(1)~(6)に関しては、原因となるプロテーゼを抜き、自己組織に入れ替えることで問題は解決します。

クリニックによっては、プロテーゼを取り換えるだけで解決をはかろうとするところもありますが、異物を入れ続ける限り、根本的な治療にはなりません。いずれまた異物をとらなければならなくなる可能性があります。

このようにして移植した自己組織は、もともとの自分の鼻の組織と一体化し、完全になじんでしまうので、触っても何も手術をしていない人の鼻と同じで自然です。

硬いプロテーゼを入れている時にはできなかった、鼻すじをつまんだり、鼻先を指で押し上げてブタ鼻のようにすることもできます。

レントゲンを撮っても移植した組織が写ることもありませんし、年をとれば、周りの皮膚が老化していくのと同じように鼻も自然に年をとっていきます。

万が一ケガをして、鼻の部分が切れたとしても、中から異物が飛び出してくることもなく、何も手術をしていない人の鼻と同じように、傷口が自然にふさがり治ります。

つまり、何も手術をしていない人の鼻と同じ状態にもどせるわけです。

鼻に入れたプロテーゼによるトラブル例

鼻にプロテーゼを入れて、いろいろなトラブルを抱えている方は、不自然な異物を抜いて自家組織に入れ替えることをおすすめします。

松下洋二(医師)

鳥取大学医学部卒業後に京都大学医学部形成外科に入局。大学附属病院などで形成外科・美容外科で働いた後、2007年より五本木クリニックの美容診療部の部長に就任。

主に他院での鼻整形の失敗で悩む患者さんからの修正依頼に応えて続け20年以上経ちます。こんな私の強みは、施術後、時間が経つと一体どんな影響を及ぼしていくのか、その未来について予測ができること。医師としてこれまで患者さんと向き合ってきた経験を現場で活かすだけでなく、読者の皆さんにとって少しでも有益な情報になるよう情報発信に努めてまいります。

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