鼻のプロテーゼを抜き続けて20年、そこから見えてきたもの(その1)

鼻整形

L型プロテーゼは特に要注意です!

鼻を高くしたい、鼻筋をすっきりさせたい方が、まず検討するのが鼻プロテーゼです。

多くの美容クリニックがプロテーゼによる隆鼻術を行っていますが五本木クリニックでは行っていません。

逆に鼻に入れたプロテーゼを抜く治療を専門的に行っています。鼻にプロテーゼを入れたい方・入れたけど後悔している方・今まさに抜きたくて悩んでいる方に、鼻のプロテーゼを抜き続けて20年で見えてきたことをお伝えしたいと思います。

20年間で抜いたプロテーゼは1000本以上

 私が鼻の修正手術に本格的に取り組み始めたのは1995年頃からでした。   鼻にシリコンプロテーゼなどの異物を入れた後、いろいろなトラブルが生じて困っている方の異物を抜いて自己組織に入れ替える手術を20年にわたって行ってきました。   抜いたプロテーゼは実に1000本以上にのぼります。  

抜去したプロテーゼたち

当院で抜いたプロテーゼの数々。ほんの一部です。

形、色合い、大きさ、硬さ、材質などすべて異なっていて、ふたつとして同じものはありません。中には象牙でできているものまでありました。

最も治療が大変だった症例

20年間で、実にいろいろな症例を経験しましたが、その中でも特に重症で、治療にてこずった忘れられない例があり、いまだに時々夢の中に出てきてうなされます。  

その患者さんは、L型プロテーゼの一部が皮膚を突き破って鼻先から飛び出しているにもかかわらず、誰にも相談できず、怖くて病院にも行けず、なんと一年間もマスクで隠し通して生活をしていたのです。  

皮膚に穴が開いた状態で長期間放置していましたから、鼻全体に細菌がひろがって化膿し、膿の混じった汁が出続け、穴が開いた皮膚のまわりが壊死をおこすという大変な状態でした。それでも、3回に分けて手術をおこない、なんとかマスクなしで外に出られるところまで回復できました。  

L型プロテーゼは特に要注意です!

プロテーゼはその形により大きく分けてL型とI型があります。さらに、L型の支柱の部分を短くカットした中間型というのも含めると3種類に分けられますが、当院で抜いたプロテーゼの内訳は70%がL型、20%が中間型、10%がI型です。  

1980~1990年代にかけては、L型プロテーゼが主流で使われていたということもあり、トラブルを訴えて修正に来る方は圧倒的にL型が多いということになります。   以下にお見せする写真は実際に当院で取り出したプロテーゼです。  

L型プロテーゼ

こちらがL型プロテーゼです。

30年くらい前にはこのタイプが主流でしたが、その後いろいろな合併症が報告されるようになったため、最近ではI型を用いるのが一般的になっています。

I型プロテーゼ

これはI型プロテーゼです。

側面から底面にかけて小さい三角形の切れ込みが数か所ありますが、これはプロテーゼの柔軟性を増してフィットしやすくするために、時々みられるものです。この切れ込みの部分に組織がからみつくため、このタイプは取り出す時には手こずることがあります。  

I型とL型の中間プロテーゼ

こちらが中間型です。

このプロテーゼはあちこち削った跡があり、輪郭にフィットさせるための苦労の痕跡がみてとれます。

L型プロテーゼはL字の形状が一番の問題

L型プロテーゼで一番問題なのが、90度折れ曲がる角の部分です。この角が鼻先の皮膚を裏から圧迫して、皮膚がだんだん薄くなってくるのです。そうなると中のプロテーゼが透けて見え、皮膚が白っぽく見えたり、圧迫された皮膚が血流障害を起こし赤く変色したりします。さらに皮膚が薄くなると、プロテーゼの輪郭が丸く浮き出てきて、最悪の場合は皮膚が破れ、プロテーゼが飛び出してくることがあります。  

プロテーゼが鼻の先端から飛び出しそうになっている写真

これは飛び出す寸前の写真です。

 鼻先の皮膚が赤紫色に変色し、丸くプロテーゼの角の輪郭が浮き立っています。また、中心部に小さなかさぶたがついていますが、すでに小さな穴が開いていて、そこからときどき黄色い汁が出ている状態です。  

自分の鼻に入っているプロテーゼがL型の方は、特に注意して経過をみていく必要があります。  

鼻プロテーゼを行っているクリニックでは、間違いなく入れ替えや修正も行っていますので不安な方は相談してみたほうがよいでしょう。以前入れたところでは不安な方は、ご相談ください。

松下洋二(医師)

鳥取大学医学部卒業後に京都大学医学部形成外科に入局。大学附属病院などで形成外科・美容外科で働いた後、2007年より五本木クリニックの美容診療部の部長に就任。

主に他院での鼻整形の失敗で悩む患者さんからの修正依頼に応えて続け20年以上経ちます。こんな私の強みは、施術後、時間が経つと一体どんな影響を及ぼしていくのか、その未来について予測ができること。医師としてこれまで患者さんと向き合ってきた経験を現場で活かすだけでなく、読者の皆さんにとって少しでも有益な情報になるよう情報発信に努めてまいります。

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