薬でニキビの治療はできても、ニキビの跡を消すのは難しい⋯ニキビ跡を消す方法はあるの?

スキンケア

薬によるニキビ跡治療が難しい理由

保険適用のニキビ治療薬が続々と登場しています。ニキビでお悩みの方には朗報なのですが⋯クスリでニキビは治せても、残ってしまったニキビ痕は消せません。つまり保険診療でニキビの痕跡を消すことはできません。

ですのでニキビ跡を消す治療は自由診療になってしまいます。では具体的に自由診療によるニキビ跡治療ではどうやって痕を消しているのか?医師が解説します。

にきびの保険治療薬は次々と新発売されたけど、残念ながらにきび跡治療薬は無いのです

2008年にディフェリンゲルというにきび治療薬が世界基準的には数周遅れで日本でも保険治療薬として処方が可能になりました。それまでにきび治療薬といえば抗菌剤とイオウカンフルローション(これって明治時代から使われていた)を組み合わせるくらいしか保険治療では打つ手がありませんでした。

明治時代から進化していない日本のニキビ治療薬

ディフェリンゲルの発売後、次から次とに保険診療として処方可能なにきび治療薬が登場しました。

でも、残念ながらにきび跡治療薬と呼ばれる保険診療で処方可能な薬はありません。

にきび治療薬は数々あれども、にきび跡治療薬はありません。

保険診療でにきび跡を消す、にきび跡を無くすことは不可能なのです。その理由としてにきび跡は病気ではない、美容的な問題である、だから保険診療の対象とはしない、との考えがあるからです。

しかし、当院の美容部門に通院する患者さんの30%近くが、にきび跡治療目的です。一時期「にきび跡パーフェクトコース」なんて名称の治療を行っていたのですが、医療に関する広告規制の関係でいまでは「パーフェクト」を使うのはNG、というか掟破り。

じゃあ、実際にどのような治療をにきび跡を解消するために行っているのかを簡単に説明しますね。

にきび跡のそもそもの原因である、保険診療で処方可能なにきび治療薬の歴史を簡単に解説して、それからにきび跡の治療方法をご説明します。

にきび治療は続々でてきたけど、やっぱりにきび跡治療薬はありません

2008年にアダパレン(製品名はディフェリンゲル)が保険適応となったことは画期的なことでした。それまでにきびの特効薬としてはイオウカンフルローションしかありませんでしたからね。

保険治療薬がamazonでも気軽に買えるプロアクティブのような市販の美容グッズより効果が期待できない点を一気にディフェリンゲルは変えた、とも言えました。

ディフェリンゲルの特徴はにきびの原因の一つであるにきび菌をやっつけるのではなく、面皰と呼ばれる状態(「白にきび」とも呼びますね)の治療が可能になったことです。

面皰に対する治療はいまでもケミカルピーリングが主力なのですが、これはまだ保険適応はされていませんし、される予定もありません。

ディフェリンゲルの次に登場したのが、海外ではにきび治療薬として当たり前のように使用されていた過酸化ベンゾイル(Benzoyl peroxide、略してBPO)を主成分としたベピオゲルです。このベピオゲルの特徴はにきび治療薬として今まで使用されていた抗菌剤を含む塗り薬が原因と考えられる薬剤耐性菌を生み出さない点です。

抗菌剤を含むにきび治療薬はアクアチムクリーム、ダラシンTゲルがありました。なかにはゲンタシン軟膏を処方するツワモノの皮膚科医もいたっけなあ。

しかし、このベピオゲルには大きな欠点がありました。皮膚に対する刺激症状が認められ、保湿剤を併用することが推奨されていたのです(社会問題化したヒルドイドの保険適用外使用の原因だったかも)。

にきびの原因はにきび菌である、との強い考えを持ったにきび治療薬として、デュアック配合ゲルがが2015年に発売され、保険治療薬としての使用が認められました。デュアック配合ゲルはベピオゲルとダラシンTゲルを組み合わせたものです。

さらにさらに、ベピオゲルとディフェリンゲルを組み合わせたエピデュオゲルが2016年に発売され、これまた保険治療薬として認められて現在に至る、というのが保険診療で使われるにきび治療薬の歴史です。

でも、できてしまったにきび跡の治療薬は登場しませんし、登場の予定もありませんし、もしも登場しても保険適用されることはのかなり難しいと思います。

にきび跡治療の中心は瘢痕形成機序を利用したもの

にきび跡を治す、消すことは美的観点の問題であり、病気じゃないから保険診療の対象ではない、と国は考えています。残念ながらこの考え方が変わることは期待できないです。

しかし、にきび跡に悩みに悩んでいる方は多いはずです。そこで登場するのが美容皮膚科医、にきび跡治療はある意味では美容皮膚科医の腕の見せどころであると考えられます。

全額自己負担でにきび跡を解消しようと来院した患者さんに対して、効果の無い治療を行った場合、美容皮膚科医への苦情はそれはそれは厳しいものになるでしょうし、クリニックの評判もガタ落ち。だからこそ、美容皮膚科医は腕に自信が無い限り、にきび跡治療に手を出すべきではないと判断します。

当院は前掲のように、にきび跡を解消できるレーザーやIPLやピーリングやPRPなどを組み合わせて定額料金でにきび跡治療を行っていました。薬機法や医療広告の規制(当院は広告費はゼロ円だけどね)などの医療を取り巻く環境の変化とあまりにも低料金であったことから、現在は受け付けておりません。

以前、当院のウェブサイトに掲載していたにきび跡パーフェクトコース、現在は当然削除済みです。

にきび跡パーフェクトコースによって当院が学んだことがあります。にきび跡治療のポイントは皮膚をレーザーやニードルを使用して刺激して、皮膚の再生を行うことがシンプルかつ安全かつ確実である、ということです。

にきび跡の凹凸に対応した3つのニキビ跡治療

五本木クリニックで行っているニキビ痕の治療は次の3つを柱としています。

  1. フラクショナルレーザー
  2. ダーマペン 4
  3. リサーフェイシング

フラクショナルレーザーでニキビ跡を治療

フラクショナルレーザーは以前はフラクセルという当時は最新でめっちゃ高額なレーザーを使用していました(これ、ベンツのSタイプのロングが買える価格)。さらに、患者さんごとに替える必要なチップが高額であったので、当然治療費も高額になっていましたし、治療時の痛みの緩和の為に塗る麻酔を使用する必要があったために、治療時間も2時間近く必要でした。

現在はAction2という名称のフラクショナルレーザーによって、特に凹んだにきび跡治療が以前より費用も安く、要する時間も短く、麻酔も必要なく行うことが可能になりました。

※イメージ画像です

フラクショナルレーザー(Action2)の詳細はこちらを → フラクショナルレーザー(Action 2)

ダーマペンでニキビ跡を治療

ダーマペンというニードル(針のことね)を使って皮膚を刺激するというか、故意に損傷を与えて皮膚の再生利用してにきび跡、特に凹んだにきび跡を解消する方法を最近採用しました。

美肌目的の場合は麻酔は必要としませんが、凹んだにきびにダーマペンを使う時は、血がにじむくらい深く針を指す必要があるために、多くの方が麻酔を併用しています。

ダーマペンのNewバージョンであるダーマペン4の詳細はこちらのブログをどうぞ↓

ダーマペン4は美肌効果のある薬剤を併用することができます。本気で高額でも良いからにきび跡をどうにかしたいという方は、当院が誇る再生医療技術である高濃度PRPの組み合わせをおすすめします(かなり高額になるので、担当医としっかり相談してくださいね)。

リサーフェーシングによるにきび跡治療

リサーフェーシング(Resurfacing)は表面を整えるとの意味の「resurface」から派生した美容用語です。当院の場合、皮膚の表面、特に盛り上がったにきび跡にレーザーを照射する方式を採用しています。このリサーフェーシングに関しては、フラクショナルレーザー治療と同時治療のみ対応していることにご注意をお願いします。

以上がにきび跡治療の柱となる3つの方法でした。

ニキビ跡治療における注意点は3つあります

  1. にきび跡治療は数ヶ月で解決はしません。
  2. にきび跡治療は数回では効果は期待できません。
  3. にきび跡治療は安くはありません。

にきび跡治療に専念したいので、当院はニキビに対しては、保険診療を行っていないことをご了承ください。

桑満おさむ(医師)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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