ヒアルロン酸でのシワ治療を検討している人が事前に知っておくべき注意点はこれ❗

スキンケア

ヒアルロン酸注射を受ける前に知っておくべき注意点

ヒアルロン酸とはヒトの細胞と細胞の間に誰でも存在している物質であり、クッション的な働きをしています。ヒアルロン酸が豊富だと、皮膚は水分を多く保持するために水々しく潤った弾力性のあるいわゆる美しい肌であることが可能となります。美容液でも「ヒアルロン酸入り」を強調する宣伝文句が多いのもそのためです。

シワ治療の場合、このヒアルロン酸をシワの部分に注射器で直接注入する方法もありますし、近年では消したいと思っているシワとは違った場所へ注入することによって張りを出し、結論的に目的であるシワを消す方法も取り入れられていて、特にほうれい線を消す治療として多用されています。

シワ消しのためにヒアルロン酸注入注射を考えているのなら

切った貼ったの美容外科はちょっと怖いし金額も高いだろうからイヤだ、でも気になるところがあるから切らない美容治療を行なっている美容皮膚科なら受診できる、と考えて現在美容皮膚科を標榜しているクリニックが雨後の筍のごとく乱立しています。

ヒアルロン酸の注入治療によってシワを消したい、シワを無くしたい、とお考えの方にぜひ一読いただけるとうれしいです。

シワ治療に使用するヒアルロン酸とコラーゲンの違い

シワの治療に以前はコラーゲン注射が使用されていました。このコラーゲン注射の原料は人の皮膚あるいは牛由来のコラーゲンでした。しかし、コラーゲン注射の場合、シワ治療を行う事前に皮内テストを行う必要があり(これを守っていない美容皮膚科もありましたっけ)、さらに牛のコラーゲンを原料としたものだと牛海綿状脳症(BSE)の問題も考える必要があり、美容皮膚科でシワ消し治療にコラーゲンを使う施設は少なくなりました。

当院では現在も安全性が高いと言われるヒト由来コラーゲンやブタ由来のコラーゲンは一切使用していません。コラーゲンに変わるシワ治療注射としてヒアルロン酸を使用している美容皮膚科が今ではほとんどとなっているようです。

ヒアルロン酸の歴史

コラーゲン注射に変わって美容皮膚科でシワ取り治療といったらヒアルロン酸注射という流れに今ではなっています。このヒアルロン酸の歴史は多くのウェブサイトで「ヒアルロン酸は1934年に米国コロンビア大学教授のMeyerらによって⋯」という感じの歴史解説が見受けられますので、あえて私のブログで書く必要もないと判断して省略します。

ヒアルロン酸を人体に使用しても安全だと判断されてCEマークを取得したのは1996年(この画期的な件に関しての記述ってなぜか他のサイトではあまり見かけませんねw)、その後多くの製造メーカーから多種多様のヒアルロン酸が製造販売されています。

ヒアルロン酸の場合、コラーゲンと違ってアレルギーを起こすリスクが無いと判断されているために、シワ治療の事前に皮内テストが不要です。これは患者さんにとっても医師にとってもメリットですね。

※ヒアルロン酸メーカーの同一ブランドでも、ヒアルロン酸の硬さ等によってこんなに種類があります。

シワ消しのためにヒアルロン酸を注入する場合の重い副作用

思い切って美容皮膚科でシワ治療のためにヒアルロン酸注入を体験してみよう、とお考えになった場合、間違いなく頭の隅をよぎるのは副作用。いくら人体にとって安全だと言われているヒアルロン酸注入であっても、きっと何か副作用があるのではないかと心配されるはずです。

いくら医師や看護師が「ヒアルロン酸注入の副作用なんて心配ないですよ〜」と言ったとしても、私はその時点で「重い副作用、重篤な副作用って本当にないのですか?」と質問するような患者さんに当院を選択して欲しいと常々思っています。まずはヒアルロン酸注入によって起こりうる重い副作用から説明をしてまいります(あーあっ、これでまた他の軽いノリで美容皮膚科を開業している医師に捨て垢で悪口投稿されるかも)。

ヒアルロン酸を血管内に注入による重い副作用

最悪の副作用というか、この多くは経験不足の医師による治療によって起きる可能性は、ヒアルロン酸を血管内に注入してしまうことです。

私が知っている限りでこりゃ酷い❗って思ったヒアルロン酸注入による副作用は海外の症例ですが、ほうれい線等をヒアルロン酸よって消そうとした患者さんに対してこんなことが起きています(どう見ても医師の知識不足が招いた事故とも言えるかもしれません)。

さらに台湾ではヒアルロン酸注入によって失明するという、悲惨な副作用というか、これも未熟な医師の手によるものと思われる事故が発生しています。

https://www.unilad.co.uk/news/plastic-surgery-addict-admitted-to-hospital-with-rotting-nose/
 

画像にモザイクをかけさせていただきました。

さらに台湾ではヒアルロン酸注入によって失明するという、悲惨な副作用というか、これも未熟な医師の手によるものと思われる事故が発生しています。

微晶瓷隆鼻噩夢 女術後右眼幾全盲 三立新聞台

基本的な顔面の血管分布や神経支配を学んでいればこのような副作用というか重篤な副作用(はっきり言って医療事故、それも医師が悪い)は起こるはずが無いのですけど⋯このような派手な副作用というか医療事故が日本で起きたとの話は今の所は幸いに聞いていません。

しかし、誰が見ても経験不足で未熟な美容皮膚科医がどんどん量産されている日本の状況を考えるといつか起こりうることだと思います。

ヒアルロン酸注入で起こりうる軽微な副作用

副作用について「軽微」という表現に対してお叱りを受けるかしれませんが、お許しくださいね。ヒアルロン酸注入で起こりうる副作用とリスクについて説明します。

  1. 経験不足の医師によって必要以上にヒアルロン酸を注入されてシワの部分が膨らみすぎる
  2. 注入時の針の痛み
  3. 注入した針による皮下出血(一般の方は内出血、って呼びますね)
  4. 非常に稀だがアレルギー的な反応を示す人もいないわけでは無い

以上の4点が軽微な副作用とリスクです。

必要以上にヒアルロン酸を注入されるケース

使用するヒアルロン酸を一本まるまる使い切らなければとか、ヒアルロン酸を大量に使用して高額な治療費を得ようとの不埒な考えの医師だけではなく、美的感覚に乏しい医師の手によることが原因となっている傾向を当院では感じています(他院でヒアルロン酸を入れすぎて当院にてヒアルロン酸を溶かす薬の治療を希望する患者さんがあとを絶ちません))。

針による痛み・内出血があるケース

他院は知りませんが、当院はかなり工夫をしています。

ヒアルロン酸の注入に使う針を工夫して使用

針の先が丸くなっていて、横に穴が空いていることがわかりますよね。針の先端が丸くなっていることによって、他の皮膚の組織を傷つけないだけではあく、重篤な副作用の項で述べた血管内へのヒアルロン酸が入り込む危険性を防ぐことができるように改良された針です。

この針を挿す部分である、ほんの直径0.2ミリの部分だけに局所麻酔をします。これによって注入時の痛みが可能な限り防げますし、皮下出血のリスクも減弱します。

アレルギー反応が出てしまうケース

アレルギー反応は、理論的には起きない副作用とメーカーは説明しています。ヒアルロン酸でアレルギー反応は無い、との考え方によってコラーゲン注入のような治療前のアレルギー検査は必要ないことになっています。

しかし、残念ながら私は今から10数年以上前に、ほうれい線にヒアルロン酸を注入したことが原因と思われる両ほほの腫脹を来たした症例を経験しています。

とにかく、ヒアルロン酸注入でシワと消そう、と考えている方は慎重に慎重を重ねて医療機関および担当医を選択してください。

ヒアルロン酸注入によるシワ治療の料金について

以前このブログでもレーザー治療の料金の決め方をお伝えしました。

ヒアルロン酸治療の料金はどのように決まるか?

レーザーの設備代+レーザーの消耗品代+薬代+人件費+家賃+広告費=レーザーでシミを消す値段 美容系の料金はこのようにして決められています(少なくとも当院はこれです)。ヒアルロン酸によるシワ治療の場合は、次のような計算になります。

ヒアルロン酸の仕入れ価格(これは結構な比率)+消耗品代(前掲の先が丸くなった特殊な針とか)+人件費(経験豊富な医師の給与はそれなりに高額です)+家賃(当院は自己所有)+広告費(当院はゼロ❗)+利益=ヒアルロン酸治療の価格

なんか忘れているかも⋯笑。まー大体こんな感じなわけです。

当院ではヒアルロン酸の性状によって患者さんの希望される部分に対して、より良い効果を出すために複数の会社のヒアルロン酸を用意しています。一番人気があるのがフランスのvivacy社stylage(スタイレージ)です。

これは様々なヒアルロン酸の硬さがあり医師も使いやすいとの評価があります。でもこれフランスから業者を通して輸入しますので、それなりのコストがかかるために、当院では大手クリニックのような格安で提供することは不可能です。

ヒアルロン酸治療でボッタクリ料金は?

美容皮膚科の中には、どんな理由があったとしてもボッタクリとしか思えないような料金をヒアルロン酸注入で請求しているクリニックがあります。

これヒアルロン酸を何本使用したんだ?何cc入れた??それこそ副作用等でなくても、この金額になるくらいヒアルロン酸を大量に顔に注入したら先日亡くなった「扇風機おばさん」に誰でもなってしまうと思うのですけど。ご冥福をお祈りいたします。

ヒアルロン酸注射したら、いつから普通の生活ができるか

ヒアルロン酸注入治療を受けた方が気になるのは

  1. 絆創膏とかテープを治療後に貼る必要があるのか?
  2. いつから化粧が可能なのか?
  3. 入浴などは治療後何日目くらいから可能か?

ヒアルロン酸注射後はテープ等を貼る必要があるのか?

ヒアルロン酸を注入する部分に局所麻酔をする場合は30Gという極細針を使っているので、その部分に絆創膏やテープを貼る必要は無いと思いますけど、患者さん心理としては不安に感じることが多いでしょうから、予防接種をした後に貼る時に使用する小さな絆創膏レベルで対応可能と判断しています。

多くの患者さんの場合、ヒアルロン酸注入治療はまずは極細針で局所麻酔をした後に前掲の特殊な針を使用しますので、絆創膏状のテープを貼る方が良いですね(当院でテープを貼る症例あるいは希望される患者さんは皆無です)。もしテープを貼るなら、マクロポアサージカルテープと呼ばれるものがおすすめです。

これを一辺が数ミリに切って針の新入部位のカバーにします(3M以外の会社からも若干色が薄めのものも出ています)。洗顔時、入浴時に剥がれることもありますが、医学的には長期間に渡って貼っておく必要性は無いと考えています。

ヒアルロン酸注入治療を受けたらいつから化粧が可能か?

化粧・メイクは、当日から可能とお伝えしています。中にはテープを貼ったその上にコンシーラーを塗っちゃうツワモノ患者さんもいらっしゃいます(笑)。

ヒアルロン酸を注入したら、いつから入浴が可能か?

入浴に関しては、万が一の皮下出血リスクを考慮して当日の入浴は我慢していただいています。

ヒアルロン酸治療を希望する患者さんに、事前にお伝えしたいこと

ヒアルロン酸を皮膚に注入するのは極端な表現をすればインフルエンザワクチン接種レベルのものです。しかし、インフルエンザワクチン接種であっても、接種後に腫れることもありますし、出血をすることが無いとは言い切れません。

医師免許さえ持っていれば「美容皮膚科」を標榜することが可能であり、研修終了後には自称「新進気鋭の若手美容皮膚科医」とか「天才美容皮膚科医」と勝手に名乗ることも可能です。ろくに臨床経験を積まず、こんな感じの医師が少なくは無いのが美容皮膚科の現状です。

しかし、簡単手軽なシワ治療方法として普及しているヒアルロン酸注射であってもノーリスクはありえません。さらに医師の中には異常に金銭に執着する人も残念ながらいます。そのような医師にお手軽なシワ治療をリクエストしてしまうと異常とも言える高額な治療料金を請求されてしまいます。

  1. まずは下見がてらに、いくつかの美容皮膚科を受診してみる
  2. 必要な料金を提示してもらう。そしてそれを書面にしてもらう
  3. リスクの説明を受ける、よければこのブログに書かれている副作用について質問をしてみてください
  4. 万が一、体に異常が出た場合の連絡方法を確認する
  5. ここに決めた❗ってクリニックの口コミを参考にする⋯うわあー、これ当院はなぜか悪口ばっかりだあ、どうみても当院の患者さんじゃ無い人の口コミ投稿さえある(涙)。

ネットのクチコミ投稿より友人知人で経験者を探して詳しく話を聞くのが一番だと思います。

五本木クリニックでの症例写真の紹介

桑満おさむ(医師)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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