自分の血液から血小板と血漿を取り出して、顔などの皮膚を再生させる方法をPRP治療とかPRP療法とか呼んでいます。PRPは「Platelet Rich Plasma」の頭文字をとったもので、日本語だと「自己多血小板血漿」と訳されている美容治療としてはスタンダードなものです。
PRP療法ってなんだ??
PRP治療の利点をあげてみます。
- 自分の血液を使用するので感染症のリスクがない
- 自分の血液なのでアレルギー反応・異物反応が起きない
という、注射を使用して注入する美肌治療としては安全面に重きをおいた治療法なので「注入治療」に対して抵抗感をもっている人でも安心して治療を受けることができます。PRP療法に使用する血小板を高濃度に濃縮してあり、血漿中に成長因子等が豊富に含まれています。血小板・血漿の働きによりメカニズムとしては、傷が治っていく創傷治癒過程をさらに積極的に働かせて、みずみずしい肌をよみがえらせよう、ということになっています。
様々な部位のエイジングケアに高濃度PRPは効果があります。
ちなみに以前、このPRP療法・PRP治療を「再生医療」と名打っていたクリニックもありました。現在ではiPSに代表される非常に高度なテクニックと大掛かりな施設が必要とされる、最先端の医療にのみ使用できる用語となっていますので、民間の医療機関で「再生医療」という用語を使用していたら、眉唾ものとして接する注意が必要です。
PRP治療の新しい方法⋯高濃度PRP療法
安全な治療に関わらず、変な知識をもった未熟な医師がこの自分の血液から採取したPRPに医薬品で、傷を治す働きがある「線維芽細胞 fibroblast」」を刺激する働きがある「線維芽細胞増殖因子」を含むものを使用して、治療部位の肌が必要以上に盛り上がってしまった、なんてアホな話を聞いたことがあります。
非常に効果があり安全であるPRP治療もそんな噂が情報に敏感な患者さんの耳に入ったか、目に入ったかで、一時期人気のない治療法となってしまっていました。
最近、またこのPRP治療の効果が見直されるとともに新しい方法が研究されこのPRP治療に使用する血小板と血漿をより効果の高い高濃度にする方法が開発されました。
「院長、ピーリングでもしますか?」
とか
「院長、日焼けしたんでイオン導入しといた方がいいですよ」
と声をかけてくれた優しい美容担当医師、スタッフも最近は全く私のエイジングケア治療をしてくれていないことをブログでつぶやいたところ、新しい治療法に限って(効果があるか不明、ひょっとしたら痛いかも、最悪副作用が⋯)積極的に声をかけてくれるようになりました。
「新しい治療はまず医師が自分で試してみる」という当院の方針に院長自ら逆らう訳にはいきませんので、先日の「ザ・リフト」に続いて実験台じゃなく、患者さん第一号となりました❗
高濃度PRP治療とは
ネット上でW-PRPというスタンダードではない治療法を目にしたんで、調べてみてみると、今回私が試した高濃度PRP治療とは全く異なる、あるクリニックが独自につけたネーミングのようです。スタンダードではない、特殊な名前がついた治療法は某集団提訴されたクリニックがお得意としていたインフォメーションの仕方ですから注意が必要です。
今回の高濃度PRPはこんな手技で作っていきます。
この前後にも煩雑な操作が高濃度PRPを抽出するためには必要とされます。
気になる高濃度PRPの効果
肌全般を生まれ変わらせることが可能であるPRPですが、効果が期待できる場所はこんなに沢山あります。
ここにある「痛みの軽減」は野球の田中まーくんが肘の治療に使って、知られるようになりましたね。
海外の症例写真とかだと、ほうれい線もこんなに綺麗なものがありますけど、さすがに一回や二回の治療でそこまでの効果は期待できないと考えています。特に効果が期待できる部位としては、口周辺の細かいシワ、目の周りの小じわ、そして顔の肌全体のツヤと張り、と現時点では判断しています。そのほか薄毛治療に関してもたっぷりと成長因子が含まれているPRPですから、今までの薄毛治療以上の効果が期待できます。
左上にリジュビネーションと記載されてPRP治療と併用して治療すると効果が高まるとされているのが、
- auto MTS(Microneedle Therapy System)⋯当院ではヴィバーチェ治療が当てはまります)
- ヒアルロン酸注入⋯当院が得意とする治療方法ですけど、併用する必要性は今のところありません。
- レーザー治療⋯フラクセルレーザーなどの、小さな穴を皮膚にあけて、肌の再生を促す治療との併用は効果が高くなることが期待できます
- Mulity Needle injection⋯韓国などで流行ったダーマローラーというトゲトゲのついたローラーで肌を血が出るほど刺激して美肌を、という方法で前述のMicroneedle Therapy Systemと同様の治療を意味しています、ヴィバーチェやフラクセルを使っての治療も同じメカニズムを利用して肌を甦らすので、高濃度PRPの併用はより高い効果がでるはずです。
私の体験レポートはどうなった❗
実際に私が体験した時の話ですが、本来なら貼る麻酔薬を30分程度貼った後に極細の針で丁寧に高濃度のPRPを注入しいくのですが、日頃のスタッフの私へ恨みのためかたった10分間の麻酔後に治療が開始されました⋯やっぱりいくら極細針でも痛かったです(涙)。
何箇所が針を刺さなければいけないのですけど、さすが当院が誇る美容治療担当の松下医師の熟練した職人芸で全く内出血(医学専門用語だと皮下出血)は一箇所も起きませんでした。体験後はすぐに午後の診療を痛みもなく普段通りに行うことができました。最悪の状況を作り上げるべきと考え、当日は30分以上お風呂に浸かり、その後普段はあまり飲まないアルコールを周囲が「院長飲み過ぎですよ」というくらい飲んでも、翌日は皮下出血も腫れもなく、普段と全く変わらない状態(ちょっと二日酔いだった)で、関係先の創業10周年パーティーに出席することができました。
実際の効果の判定ですが、後日報告させていただきます。効果の持続期間は半年から1年くらいなので、次はしっかりと麻酔時間を確保してくださいね、◯◯さん❗