ネフェルティティ・ネック・リフトという美容の施術名があります。
エジプトの女王のネフェルティティの様な首と言われてもイメージがわかないと思います。
ネフェリティティって誰だっけ?
この写真を見れば、あっそうか、とご理解いただけると思います。
この像は皆さんも見たことがあると思います。紀元前14世紀のエジプトのファラオの正妃であった、ツタンカーメンの義母として有名です。細長い綺麗な首とフェイスラインが海外の女性にとって憧れらしいのです。
この胸像はベルリンの国立博物館に展示されています。この王妃の首のラインが理想形であると欧米では言われていて、いかにして美容的技術をこらして少しでも近づける努力が行われています。
この治療は一切切ったり糸を使用したりしません!
フェイスラインの改善として糸を使った方法がありますが、それだけでは首の弛みはなかなか手ごわい相手です。その為、美容外科学会の勉強会や症例報告では首にメスを入れて筋肉を吊り上げ、余った皮膚を切り取るといった大掛かりな治療しか充分な効果がないと思われていました。しかし、切るとどうしても目立ちませんが傷跡は残ってしまいます。
そこでボトックスだけで治療する方法が考案されました。切ったり縫ったりしないで、注射だけでこの問題が解決するのです。
欧米人の場合、アジア人と違った骨格であるためにこの首の弛みを気にしている人が多い様です。ネフェリティティとまではさすがにいきませんが⋯。
日本人でも悩んでいた
私は当院の患者さんでこの首の弛みを気にしている方はそんなに多くないと思っていました。しかし、当院がこの治療が可能ですよ、と院内の患者さんに囁いたところ患者さんが殺到してしまい、私は単純に驚いています。
患者さんはネフェリティティなんて例を持ち出さないで、「七面鳥のように弛んだ首」とか「外国のよく顎が無い人っているでしょ」中には「ガマガエルの様な首の弛み」との表現で自分の悩みを伝えてくれます。
なかなか直球の表現で私たちに悩みの状態が伝わってきますが、こちらから患者さんにこの表現をするとぶっ飛ばされる可能性が大なので、積極的にインフォメーションはしていませんでした。
日本ではまだ一般的に知られていない治療ですが、当クリニックはボトックスの指導員が所属していることもありいち早く治療を開始しております。
今回の治療のポイントの広頸筋はこんな感じになっています。
首の弛みが出来るメカニズム
首の弛みは決して筋肉が緩んだことによって引き起こるわけではありません。広頸筋という首の浅い層に存在する筋肉は顎の周りの筋肉とお互い引っ張り合う状態が若い時の状態です。
しかし、顔全体の筋肉が緩んでくると、その筋肉に対して広頸筋の収縮する力の方が強まってしまうために、両耳から顎にかけたラインと両側の鎖骨付近の皮膚が広頸筋の中心に集まってきてこの弛みが生じてしまうのです。
私たちが使用している方法は学術的な文献でも発表されています。The ‘Nefertiti lift’: a new technique for specific re-contouring of the jawline.というタイトルでJ Cosmet Laser Ther. 2007 Dec;9 (4) :249-52に掲載されています。
解剖学的な筋肉の力関係を理解しないでネフェルティティ・リフトなんて言葉で治療をする美容皮膚科が登場することが懸念されますので、今回ブログにしっかりと理解した医師のもので治療しないとトラブルを招きますよ、との意味を込めて書かせていただきました。
こんな感じに仕上がります
外国ではオッサンも気にしています
ご注意
下手な医師が治療するとモノを飲み込めなくなるとんでもないトラブルが発生する可能性がありますので、医師選び・クリニック選びは慎重に!!