シミ取りレーザーの特徴と注意点⋯後悔しないために最低限の知識をもちましょう❗

スキンケア

シミ取りレーザーの特徴と注意点

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シミ取りレーザーは進化し続けていますが、シミを魔法のように消す機械ではありません。レーザーによるシミ取りをご検討の方が、後悔しないために知っておくべき医療情報をお伝えします。

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まだまだ進化し続けるシミ取りレーザー

レーザーは魔法の機械ではありません。シミ取りレーザーと多種多様であり、進化もどんどんしています。15年くらい前に導入したQスイッチルビーレーザーはメインテナンスとレーザーの機械自体が巨大であり、振動や結露に弱いという理由から現在はほとんど使用していません。

C3シリーズの大ヒットを生み出したQスイッチヤグレーザーもその後、肝斑(これがシミと同じと考えている人多数)にも効果があるC6という後継機種が出ました。C6の登場により、美容系のクリニックだけでなく一般皮膚科クリニックでもシミのレーザー治療が受けられるようになりました。

レブライトによる症例

これは最新式のレーザー「レブライト」による症例です。

欧米人と比較してメラニンが多い日本人の場合、シミを取るのために必要なシミ取りレーザーのパワー(熱量であるジュールで通常計算)を使用すると、シミは取れたけどその後「炎症後色素沈着」と呼ばれる、まるでシミが再発したかのような現象が起こりがちなのです。

いかにシミだけを取り、他の部分にレーザーのダメージを与えないのかを考えた場合、照射時間をより短くする、という考え方ができます。

Qスイッチヤグレーザーの場合、レーザーが出ている時間はマイクロ秒(100万分の1秒)さらにはナノ秒(10億分の1秒❗)単位で設定できます。今、海外ではピコ秒(一兆分の1秒)単位で調整できるものまで出現しています。当院でも日本でまだ数台しかない、レブライトというC6シリーズの上位機種を導入したばかりなのに⋯。

●一般皮膚科の先生へのご注意 日本で厚労省によって承認されたレーザー治療器は美容の世界ではひと昔の機種になっているのが現状です。承認されたレーザー治療器はリースができて簡単に導入できますよ、という医療業者の甘い言葉にはくれぐれもご注意ください。レーザー治療の世界に踏み入れたら、次々と取引がなかった業者が面会を求めてきて、次々を新しいレーザーを紹介してきて、システム金融のような世界に巻き込まれます。一歩踏み入れたら新しいレーザーを持っていないと不安になりますし、患者さんもレーザー治療の機種をかなり詳しくご存じです。

レーザー治療を躊躇する原因の多くは解決済み、日本人に多いPITが残る課題です

シミ取りレーザー治療の場合、患者さんが治療を躊躇するのは

  • 1:痛み
  • 2:費用
  • 3:ダウンタイムなど術後のケア

の3点が殆どです。

1の痛みに対してはレーザーが照射されている時間は前述のように非常に短いのでほとんどの方が痛くなく治療を受けることができます。痛みに敏感、あるいは痛みが怖い、という方に対しては以前は各クリニックが独自に処方した痛み止めクリームを使用していましたし、厚労省が承認したペンレステープという貼る麻酔剤もあります。さらに痛みをなくすために現状に満足することなく、美容専門クリニックはレーザー治療の痛みを軽減する方法を研究しています(いるはずです、かな?)。

2の費用は需要と供給のバランスによって10数年前と比較すると確実に安くなっています。レーザー治療の大御所が数百万単位の治療費を取っていた時代は過ぎ去っています。もちろん安けりゃいい、ってわけでもないので信頼性がある美容医療機関をを選択するユーザーの目利きも必要とされています。一番正しい情報としては知人があるクリニックで治療をして効果があった、教えてもらうことなのですが、友人は実は「肝斑」であり、あなたは「シミ」である場合もよくある話です。まずは友人情報を頼りに、下見がてら美容クリニックを受診して納得してから治療をスタートする方法(二度手間ではありますけど)をレーザー治療初心者にはおすすめします。

3のレーザー治療術後のケアが問題です。特に日本人特有の肌質と心情が大きく影響しています。

レーザー治療で見逃すことができない、Post Inflammatory hyperpigmentation 略してPIH問題

レーザー治療の症例数を多く経験してきた当院も術後のアフターケアをいかに簡単にするか、について論議を医師間で進めてまいりました。一時期はレーザーで黒子やシミを取っても、テープを貼る必要はなく、軟膏を塗っておくだけでいいのではないか、と考えた時期もありました。

術後テープなしで症例を重ねると、やはり日本人い起こりやすい、レーザーによる炎症後色素沈着(PIT) の発生頻度が増えてしまったのです。テープは格好悪いんで、医療業者が出しているコンシーラーを使用して、レーザー治療のアフターケアに使用してもらったこともあります。これもダメでした、時間の経過でコンシーラーが取れてしまい、それを拭き取る作業中にせっかく出来上がったカサブタが早期に剥離してしまうのです。今ではSPF50以上の日焼け止めがあるので、それを利用することも検討しましたがうまくいきません。

実際問題としてPIT (炎症後色素沈着)は時間と共に自然消滅するのですが、患者さんとしてはせっかく治療したシミが再発した。シミが取れたのに炎暑後色素沈着を数ヶ月我慢しないといけないなんて許せない、との思いをされるのは当然です。

そこで当院の皮膚科・形成外科(保険診療)で使用している湿潤法という外傷・火傷の治療方法を現在では取り入れています。レーザー照射部分に被覆材を貼り付けて10日から14日後に剥がすと、綺麗に新しい皮膚が出来上がっています。この被覆材を使用した場合、レーザー治療後色素沈着の頻度も極端に下降傾向にあります。当初は「レーザー治療で被覆材を一定期間貼りっぱなしは患者さんが強く拒否反応を示すのでは」と危惧されました。せっかく治療したんだからいい結果を❗そのためにはテープじゃなくて、肌色の被覆材なら許す、って患者さんが増えていることは非常に嬉しいことです。

ConvaTec_JP_-_ハイドロコロイド

このような被覆材でレーザー照射部位を覆います。物理的なカバーと薬剤による抗炎症効果・創傷治癒を早める効果があります。被覆材の上からお化粧をしても構いませんし、入浴もOKです❗

日本人は術後のダウンタイムを気にしすぎ!?

欧米やアジアの多くの国では「今さっきレーザー治療したんで顔にテープ貼っています」状態で高級ブランドショップで買い物をしている奥様を見かけます。美容治療に対する抵抗感が減った現在の日本でもレーザー治療後にテープを貼ったままで、外出することに抵抗感を持つ方が多かったし、現在でも多いのです。

当院の場合ですが、今までの当院での経験を踏まえた説明と患者さんの知識が豊富になったことにより、せっかく治療したんだからいい結果出したい、そのためには少しくらい不便なことは我慢してくれる患者さんが増えていることは非常に喜ばしいことです。

米国の美容専門医に私は何回も何回も言われました。

No pain,No gain⋯痛みを伴わないと、得られるものは無い

ということです。お財布の痛みはシミ取りレーザーの普及によって軽減されました。治療時の痛みもレーザーの進化と麻酔の工夫で軽減されました。選択するのは「あなた」です。

当院での今後の課題は、アフターケアにおける被覆材の使用についてです。

桑満おさむ(医師)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ(医師)への相談窓口

0120-70-5929

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