イオン導入は美肌になるための方法として基本中の基本です

スキンケア

イオン導入は美肌治療の基本

当院が開院したのは1997年ですが、その年に日本でイオン導入器と呼ばれる美容機器が開発されました。

イオン導入は美容医療の基本です

レーザー治療器を揃えているクリニックなど東京でも珍しいような時代です。レーザー治療器は今の数倍の値段であり開業当初であまり資金のない当院はイオン導入器を購入して今の当院の美容医療の第一歩を踏み出しました。

ついつい高額な美容医療が中心となっているのが美容皮膚科クリニックの傾向ですが、美肌医療の基本中の基本である「イオン導入」について初心にかえって解説をしていきます。

多くの方は今では想像もつかないでしょうが、美容医療なんて全く超特殊な医療であり全うな医学を学んだものがおこなう医療とは認められていなかったような時代です。当時から理屈っぽい私は「イオン導入ってどおいうことよ」的にガンガン美容医療機器屋さんを攻めました。返ってきた答えは理路整然としたものであり、医学的・科学的に納得のいくものでしたので、「ビタリオン」という、イオン導入器での治療を開始しました。

医療用イオン導入機

これがイオン導入器です。

イオン導入ってどういうこと??

スキンケアするときの問題は美肌に効果のある成分が化粧品として皮膚に塗るだけでは、皮膚の奥に有効成分が浸透しないために十分な効果が発揮できない、ということです。皮膚にビタミンCを塗って電流を流すと、ビタミンCが「イオン化」するために、皮膚の奥深くに有効成分が浸透することが判ったのです。

その原理を利用した医療用美容機器が「ハイビタリオン」という、今では類似品も多くでまわるイオン導入機器の元祖です。今では医療機関で使用されるイオン導入器をパワーダウンさせたものは、エステサロンでも使われていますし、さらにパワーダウンさせたものは家庭用としても販売されているくらい、イオン導入はポピュラーな美肌治療方法となっています。

イオン化させることによってビタミンCだけではなく、ビタミンE、そしてプラセンタさえも皮膚の奥深くに十分に浸透させることが可能との研究も発表されています。

イオン導入の効果

イオン導入器の製造元であるインディバ社資料より

ビタミンCを浸透させるとシミなどの色素系の治療だけでなく、コラーゲン等を増やし肌の弾力も回復させることが出来ます。

イオン導入と言う方法はもともと抗がん剤などを人体の奥深くに入れ込む為に考えられた「イオンフォトレシス」が原理となっています

その原理として薬剤と電極の電荷的な反発力を利用していますから、+と+が反発する、−と−が反発する、ことを利用して皮膚の奥まで有効成分をしみ込ませることが可能になっています。

家庭用イオン導入と医療用イオン導入の違い

イオン導入によって有効成分を皮膚の奥深くまで浸透させる為には、治療する皮膚の上層の化粧品、汚れを十分に取り除く必要があります。さらに美肌の為の有効成分を浸透させるには角質層が邪魔をしてしまいます。

これらを十分に取り除いてからイオン導入を行なうと効果が十分に発揮されるのですが、皮膚に残った化粧品や汚れはクレンジング・洗顔料だけでは十分に除去することを一般の方が行なうと、単に皮膚を痛めてしまう可能性があります。

さらに角質はスクラブや家庭で使用可能なピーリングソープは医療機関だけで使用することができるピーリング剤と比較してしまうと効果はボチボチ程度の評価しか出来ません。毎回毎回クリニックでピーリングをして、イオン導入をするとなると美肌の為の基本中の基本であっても、長年続けていただくことが必要ですから費用の面で厳しいことにもなりかねません。

そこで提案です❗

出来れば一ヶ月に一回、少なくとも数ヶ月に一回は医療機関でピーリングとイオン導入を行なう

この医療機関プラス家庭内維持方法によって、医療機関で十分に美肌有効成分を皮膚に浸透させて、家庭では家庭用のイオン導入器を使用して効果をキープする、って考えはいかがでしょうか?

今後のイオン導入の課題

ビタミンCを皮膚の奥深くにイオン導入と言う方法で浸透させることができる、というのは美容医療のABCとして広く認知されています。分子量を小さくすると浸透が良くなる為に「ナノ化」が化粧品のテーマとなっています。ヒアルロン酸は美容皮膚科ではシワの治療などに使用されいる一方で、ヒアルロン酸自体は高分子なのでイオン導入して皮膚の奥深くに浸透させることは不可能と考えられていました。

しかし、今では低分子ヒアルロン酸という、ものが開発されたために「ひょっとしてヒアルロン酸もイオン導入がかのうなんじゃないか?」と様々な医療機関で研究が行なわれています。美肌に効果があるといわれている「プラセンタ」ももともと胎盤から抽出されたエキス成分ですので高分子なんですが、当院で実験(基礎実験ではなくスタッフによるin vivo実験)だと効果があるようなんです。となるとヒアルロン酸もなにか工夫をすればイオン導入することが可能になる可能性(言葉が変)も大有りなのです。でも、ヒアルロン酸注入って当院にとってドル箱なんで、家庭で気軽にヒアルロン酸がイオン導入できちゃうとかなり困ったことになるんで⋯。

そういえば当院のイオン導入の費用って、今回のブログの為に他のクリニックのサイトも覗いたのですけど、他院よりかなり安いような気がしました。このことをスタッフに言った所「院長、他のクリニックの料金もしっかりチェックしてくださいよ〜❗」と結構強めに逆パワハラを受けてしまった私でした。

桑満おさむ(医師)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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