先日大手化粧品会社の製品が皮膚にトラブルを起こすということで自主回収をしていたことが発覚しました。美しくなりたい女性のせっかくの期待を裏切るような結果になって、使用していた方は怒りの気持ちもあることでしょう。
化粧品成分の凄さ
最近の化粧品は機能性化粧品とでもいう表現ができそうなくらいに効果を発揮するものがあるようです。
以前から美白化粧品のリスクはブログでおつたえしていました
医薬品と化粧品の違いはハッキリと効果があるものが医薬品、そんなに効果はハッキリしないものが化粧品、そしてその中間が医薬部外品と呼ばれる分類を厚生労働省は取っています。
私たち美容医療に携わっているものにとって期待されている成分がEGFであり、FGFであります。そんな略した呼び方じゃわかりにくいので、この有効成分について詳しく医学的に考えていきます。
EGFは epidermal growth factorの略です
上皮を成長させる因子⋯学術的には上皮成長因子と呼ばれる物質です。
なぜかしら化粧品業界では表皮細胞増殖因子と呼ばれていますが、
- 表皮は体の表面を覆っている皮膚の一部⋯epidermis
- 上皮は内臓などの器官の一番上層にある表面を覆っている細胞⋯epithelial
医学的にはこのように表します。どちらにしてもEが頭文字ですので、あまりゴチャゴチャ言わなくてもいいかもしれません。growth factorは通常、成長因子と呼びますので細胞増殖因子って言葉は少しおかしいですね。
スタンリー・コーエン(Stanley Cohen)が発見しノーベル賞を獲得したとされていますが、実際は「成長因子」の発見がノーベル賞の対象であってこのEGFだけを発見したわけではありません。
EGFは細胞の受容体と呼ばれる部分に働きかけてタンパク質を作り上げる信号を刺激することによって細胞を増殖させる作用があります。つまり、化粧品業界てきには「肌を甦らせる」という作用を期待して成分に含有させているのです。
私たちも化粧品より強力な作用を持つEGFを皮膚の表面に小さな穴を開けて、強制的に肌を活性化されて綺麗な肌を生み出すことにも使用しますし、ハゲ・薄毛の治療にも使用します。
EGF入りの化粧品は海外でも大人気です。
以前はかなり高価な成分だったのですが、近年のバイオ技術の向上により化粧品にも配合できるくらいの価格になっています。それでも通常の美容液よりは、高額な化粧品になってしまうのは仕方がないと思います。厚生労働省はEGFは糖尿病性足部潰瘍の治療に効果があることが認めていますから、効果に対しては疑う必要はないと思われます。
となると今度は副作用が気になります。EGFを肌に塗ったくらいでは余計な効果を発揮することはないと断定できます。
医療だと、このEGFに余計な成分をプラスして皮膚に注射をして、皮膚が必要以上に増殖したとの報告がありますが、そのプラスした成分は通常医療機関でしか使用できないものですから、化粧品として使用する分には副作用はないと思います。
FGFはfibroblast growth factorの略です
FGFは線維芽細胞成長因子と呼ばれるものです。これも成長因子の一種類と考えていいものです。繊維芽細胞とは皆様おなじみの真皮の構成成分であるコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸を生み出す細胞の事です。これらの構成成分によって皮膚は張りがでて、プルプル感が維持できみずみずしい肌を保つことが出来るのです。
FGFはこの繊維芽細胞を刺激してコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸をさらに増産させることが出来るものです。
FGFっていってもこんなに種類があります。
現時点ではこのFGFについては厚生労働省は直接のコメントを出していないようです。医療ではこれもやはり細かい穴をレーザーや特殊な機器を使用して直接真皮付近に打ち込むような使用法を取っています。これによって肌の張りが出てきます。
化粧品だけで、さすがにここまでは効果は期待できませんよね(笑)。
化粧品において果たして真皮まで浸透するかという素朴な疑問がわきますが⋯体に害がない限り化粧品は夢を売る仕事でもあるのでいいのではないでしょうか?
これらの理想的な使用方法は?
あくまで化粧品としての使用方法について考えて見ます。ただ肌に塗るだけでは思ったほど皮膚に浸透はしないのではないでしょうか?私たち医療機関でさえ細かい穴を開けてこれらの成分をしみこませます。
そこで塗るより効果があるとしたら、パック状の使用方法とか、最近流行のシートマスクに浸透させて十分肌に密着させる方法とかがあります。ただ単に塗るだけよりは効果が期待できますね。
恥ずかしながら少し宣伝です
クリニックでEGFやFGFを注入した後、さらに効果を持続させたいという患者さんが多いのですが、頻回に注入するにはお金も時間もかかってしまいます。
そこで当院の女医チームがこれらの成分を含んだシートマスクを開発しました。このシートマスクを使用すると、どういうわけかニキビも収まってしまうのです。
この噂を聞きつけた他のクリニックでも使用されています。以前このシートマスクの噂を聞きつけた患者さんが販売を希望したのですが、クリニックで使用しているものを販売することは手間もかかりますし、遠方の購入希望者に送付するのもこれも手間になってスタッフからブーイングを食らってしまいました。
そこで当院がフラーレン入りの化粧水を開発した時に協力した化粧品通販会社に販売を任せてしまいました。
もちろんクリニックで使用する場合はこのシートマスクにEGF,FGFにさらに医療用の薬剤を追加しますが、さすがにそれを含んだものは化粧品とは認められません。
理論的にも効果的にもかなり有用な有効成分が含まれた、もちろん安全性も確認済みの美容液が染み込ませてあるシートマスクですので、ご希望の方はこちらのHPをご覧ください。「せっかく私が開発したんだから院長ブログに載せてよ!」と言われましたので⋯。