美容外科医がピアノを演奏する理由とは

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美容外科医がピアノを弾き続ける理由

皆さんもご存じの通り私はプロの芸術家ではなく医者です。
そんなわけでちょっと恥ずかしい気もしているのですが、私の芸術に対するこだわりと、職業である美容医療のつながりについて、今回は語ってみたいと思います。

表現と美容診療という仕事についたわけ

もともと子供のころは父親が大工だったこともあり、ものづくりに非常に興味がありました。将来は設計士になって空港とかそんな大規模な施設を作ってみたいと思っていたものです。
結局、医者になったのですがその原因は、私が育ったのが離島であったことによります。
昼はお医者さんがいるのですが、夜になるとお医者さんは本土に帰ってしまいます。
急な病気や事故は非常に恐ろしいものでした。そこで、私はみんなが安心して暮らせるように、離島での医療を志したのです。

最初は離島の医療のために内科などを勉強していたのですが、様々な診療科での勉強の中で、形成外科に非常に強く惹かれたのです。
形成外科とは先天奇形や事故、がんの手術などで壊れてしまっている体の外見を、手術で正常な外見に戻す治療を行う診療科です。そこで、先輩たちの手術を見ているうちに、すっかりこの形成外科での治療に魅入られてしまったんですね。
芸術と違って自由に表現できるわけではないのですが、自らの手で身体の形を作り上げることにたとえようもない面白さを感じたわけです。

そんなわけで形成外科医になったのですが、ずっと大学の勤務医ではいたくありませんでした。ところが、個人のクリニックでは形成外科となると、ほくろをとったりといったごく小さい手術しかありません。
個人のクリニックで大きな手術にかかわるとしたら美容外科領域しかありません。そこで私は美容外科医になることにしたのです。

私の趣味である表現について

私の好きなことは何かを具現化することですね。その意味では現在の仕事もそうです。
当クリニックでは別の顔に変えてしまう、いわゆる美容整形は行ってません。
しかし、ヒアルロン酸で少し膨らませたりといった治療では、黄金比率という美しさの理論を用いて施術したりします。そういう意味では楽しいですね。

さて、本題に入ります。私が一番話したかった趣味のことです。

一番はピアノです。もうピアノさえ弾ければ幸せというぐらいピアノが好きです。
そして書道。
さらに、私にとって大切な趣味として上生菓子があります。

ピアノについて

私は5歳からピアノをやっていました。親からやれといわれたわけではなく、近所の友達が始めたのを見て、楽しそうだからやってみたいと始めました。
13歳まではレッスンを受けていたのですが、勉強が忙しくなったりしてレッスンを辞め、この歳までずっと独学でやっています。

Youtubeにショパンのピアノ曲を何曲かアップしています。この中でも特に思い入れ深い作品を3曲ご紹介します。ご興味があればご覧いただけたら幸いです。

こちらはショパンの作品の中でも特に人気が高い、ピアノ協奏曲第1番です。


うれしいことに激励のコメントをたくさんいただきました。
ワルシャワで開催されるショパンのアマチュアのコンクールは、年齢制限がないとコメントで教えていただいたので、出てみようかと少しだけ真面目に考えています。

エチュード第4番 嬰ハ短調 作品番号10-4、超絶技巧と呼ばれている作品です。

即興曲第4番 嬰ハ短調「幻想即興曲」 作品番号66です。これはショパンの作品の中でも最も有名なので、聴いたことあると思われる方も多いでしょう。

これらを演奏しているピアノはPLAYEL(プレイエル)というピアノ制作会社のものです。ショパンが生涯愛したピアノとして知られています。このPLAYELを弾けるというだけで幸せといっても言い過ぎではありません。

とはいえ、他ににもピアノはグランドピアノが2台、アップライトピアノが1台、電子ピアノが2台あります。他にエレクトーン1台、電子オルガンが1台あります。
他の2台のグランドピアノをご紹介します。

ベーゼンドルファーのモデル290インペリアル
こちらが、世界最大のピアノとして知られる、ベーゼンドルファーのモデル290インペリアルです。ピアノ演奏家の間では単に「290」と呼ばれることが多いです。
普通のピアノより9鍵も鍵盤が多いのが特徴で、その部分は黒い鍵盤になっているのがわかると思います。
290は演奏するのがとても難しいピアノでして、鍵盤をただ押してもいい音がでないのです。正確に重みを乗せて初めていい音がでるという大変なピアノです。
でもどうしても欲しかったんです。どこのコンサートホールにもあるスタインウェイとかに比べるととにかく生産数が少なく、めったに手に入りません。
それだけに手に入れたときはうれしかったですね。

スタインウェイB-211
こちらはスタインウェイB-211です。
単にピアノ演奏家の間では「スタインウェイB」と呼ばれています。「完璧なピアノ」と呼ばれており、プロの練習用ピアノとして一番ポピュラーなものです。
クラシックだけではなくジャズピアニストやポップス界のスターたちからも愛されているピアノです。私はクラシックだけではなくジャズも弾くのですが、ジャズを演奏するときにはスタインウェイがやっぱりしっくりきますね。

ベーゼンドルファーのモデル290インペリアルはサントリーホールにもありますので、実際にご覧になられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ちなみに、ベーゼンドルファー、スタインウェイ、ベヒシュタインが世界3大ピアノと呼ばれています。

とにかく私は車とかそういったものには興味がなく持ってもいませんが、ピアノだけはどうしても手放したくないですね。

ピアノを弾く手について

意外に思われる方が結構いらっしゃるので、私の手の写真を載せておこうかと思います。
写真をピアノを弾く手というと「白魚のような細い指」を連想する方が多くいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、ピアノを弾くのは指にとっては重労働なので、自然と筋肉がついて白魚のような細い指ではなくなるのです。

こんな感じです。

Dr松下の手

指は長いのですが、けっしてきれいとは言えないと思います。
でも、長時間にわたる緻密な作業に耐える持久力はピアノによって培われたものだと思います。

書道について

書道も好きだったので上達が早かったのかもしれません。中学生の時に三段の免状をいただきました。
最優秀賞の選には漏れたものの、香川県では銀賞のトロフィーを何回かいただきました。

松下洋二の書

これらは高校生の頃に書いた作品です。

上生菓子について

「三度の飯より上生菓子が好き!」というぐらい「上生菓子が好き」です。
上生菓子3,500点種類以上を掲載した「上生菓子図鑑」というブログをやっています(最近は、ちょっと多忙のため更新をお休みしていますが)。

上生菓子図鑑の目次四季折々の上生菓子を紹介しています。

私は甘いものは何でも好きなのですが、特に上生菓子が好き、というより偏愛しているというぐらい好きです。
手のひらに数個も載ってしまうような小さなお菓子です。
その小さな一つ一つに日本の四季の美しさを切り取ったかのような繊細な造形があります。
しかも、保存がきかないためわずか数日の間に食べられてなくなってしまうというはかない芸術作品です。
そして、季節ごとに新しいデザインの上生菓子を各店舗で何種類も作ります。
日本中でみれば数万という新しい上生菓子が毎年生まれては消えていくのです。しかも、手作りのため全く同じ形の上生菓子は二つとありません。

和菓子店にある一つ一つが、それこそ星の数ほどの数多くの上生菓子の中から出会うことができた、まさに一期一会の貴重な出会いだと感じます。

そんな奇跡ともいえる出会いの一つ一つをかみしめるところに、上生菓子の愉しみがあります。

美容医療と芸術表現の関連性について

私はこれまで長くピアノをやってきたのですが、これは外科医という仕事にとても役に立っています。
ピアノの演奏は緩急のリズムを意識しながら、長時間にわたって集中力を途切れさせることなく流れるように演奏を続けることが重要です。
これは手術と非常に似ています。
手術は間違えてはいけないので集中力が大切なのですが、手術に必要な集中力は私の場合はピアノでつちかったものです。
そして、今演奏している箇所だけではなく、次はここを弾くという未来を考えながら必要な心の準備を同時に行うのがピアノの演奏です。これは手術の段取りを頭の中で組み立てることに非常によく似ています。
ピアノの練習は外科医のスキルアップに確実につながると私は考えています。

また、東大生の半分は子供のころピアノを習っていたという調査結果もあるそうです。右手と左手を別々に正確に動かすような体の使い方として、ピアノは最たるものですね。

ペンフィールドのホムンクルス

この図はみなさんも一度は見たことがあると思います。手の運動には脳の非常に多くの部分がかかわっていることがわかります。それゆえに、手を使うことは脳の発達に寄与するといわれているのですが、私もその通りだと思います。
もし、これを読んでいる方に小さなお子さんがいらっしゃるのであれば、ピアノを是非お勧めしたいですね。

美容医療の楽しさについて

美容医療以外は表現と関係がありません。基本的に普通の医療とは、悪くなった体のコンディションをできる限り元の状態に戻そうとすることです。
内科であれば治る病気は治すし、治せない病気は何とかコントロールして日常生活にできる限り不便がないようにするのが目標となります。
また外科であれば、手術してガンを取るといった手術も表現とはつながりません。
しかし、美容医療は美しさを追及することが目的なので、表現と密接にかかわってきます。

それでも絵や彫刻などと違って、自分がやりたいことを全くゼロから作り上げるわけにはいきません。
最初に患者さんの「こうありたい」という目的があります。それをベストな形で実現するのが美容医療のゴールになります。
どちらかというと建築に近いといえるでしょう。建築の場合は施主さんのこんな建物を作りたいという想いがあり、それを具現化するのが建築家というプロの仕事です。これと同じですね。

ちなみに当クリニックでは顔をまるっきり変えるといういわゆる美容整形はやっていません。他のクリニックで失敗してしまった患者さんの容姿を修正したり、若々しく見えるための治療がメインです。
しかし、そんな一見表現とかかわりのない美容医療であってもやはり美に対する意識は重要になってきます。
ヒアルロン酸の注射一本打つにしても、顔の黄金比といったバランスを考慮して、最適だと考える提案を行うわけです。

簡単にやっているように見える治療であっても、注射といった技術だけではなく、美的な観点からいろいろ考えてやっています。せっかく来院して治療を受けてくださっている患者さんには、できる限り美しくなっていただきたいですからね。

松下洋二(医師)

鳥取大学医学部卒業後に京都大学医学部形成外科に入局。大学附属病院などで形成外科・美容外科で働いた後、2007年より五本木クリニックの美容診療部の部長に就任。

主に他院での鼻整形の失敗で悩む患者さんからの修正依頼に応えて続け20年以上経ちます。こんな私の強みは、施術後、時間が経つと一体どんな影響を及ぼしていくのか、その未来について予測ができること。医師としてこれまで患者さんと向き合ってきた経験を現場で活かすだけでなく、読者の皆さんにとって少しでも有益な情報になるよう情報発信に努めてまいります。

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