プチ整形で鼻を高くするオステオポア(オステオポール)は本当に安全なのか?

鼻整形

オステオポアを鼻先に入れてはいけない理由、オウテオポアは自家組織の代替にはなり得ない

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オステオポア(オステオポール)とは?

メッシュ状の人工素材を立体的に加工したもので、鼻先の皮下に埋め込んで、鼻先の形を整えるのに使用する人工物です。人工軟骨とも呼ばれています。

形状は2種類あります。

オステオポアのふたつの形状・紡錘型ドーム型と球型ボール型

鼻先の皮下に埋め込んで鼻先を高くしたり、鼻先をさげたりして鼻先の形を整えるために使用します。

オステオポアを埋め込む箇所

オステオポアを埋め込む手術は非常に簡単なので、多くの美容外科で施術が行われ、プチ整形として人気を集めています。

オステオポアは体内で自然に分解されて溶けていく素材、ポリカプロラクトンでできています。

ポリカプロラクトンでできた医療用の製品としては様々なものがあります。

  • 縫合用の糸
  • 人工硬膜
  • スレッドリフトで用いる糸

自然に溶ける性質からこのような用途に用いられています。

ポリカプロラクトンでできているオステオポアは、2~3年かけて徐々に溶けるとともに瘢痕組織に置き換わっていきます。


瘢痕組織とはケガややけどなどで皮膚が傷ついたあとにできる修復された組織のことです。いわゆる傷あとですね。

ネーミングが違ってもオステオポアと同じ施術

同じオステオポアを使った鼻先の形成術であっても、他院と差別化をはかるために、あえて違うネーミングがなされていることがあります。

  • メッシュボール
  • ノーズボール
  • ノーズチップ
  • PCLドーム
  • 3Dドーム
  • 4Dノーズ

これらは名前は違いますがオステオポアと同じ施術です。

オステオポアをどうやって埋め込むのか

通常は以下の手順で手術をします。

①鼻の穴の中を切開する

②鼻先の皮下脂肪を切除する

③左右の鼻翼軟骨を縫い寄せる

④鼻先の皮下にオステオポアを入れる

オステオポアを鼻に埋め込む手順

オステオポアのメリット

オステオポアには下記の4つのメリットがあり、そのためプチ整形で鼻先を整える施術として多く実施されています。一言でいうなら「手術が簡単」ということですね。

  1. これまでの耳の組織を切り取って埋め込む手術に比べると、費用も非常に安くあがります。
  2. 手術時間が短く30分程度で終わります。
  3. これまで鼻先を高くするためには、L型のプロテーゼを埋め込むか、軟骨を採取して埋め込むしか方法がありませんでした。鼻以外の部位から軟骨を取るとその部位に傷跡が残ってしまいます。これに対してオステオポアは鼻以外に傷跡を残さないことが大きなメリットです。
  4. オステオポアは体内で自然に吸収される素材でできているため、一生体内に残ってしまう、非吸収性の素材より安全性が高いといえます。

オステオポアの施術の重要なポイント

オステオポアは簡単に終わる手術ではあるのですが難しさもあります。

鼻先の皮膚はもともと薄く弾力性がありません。


そのため、皮膚を剥がす時に浅すぎたり、鼻先の皮下脂肪を取りすぎたりといったミスが重なると以下のようなトラブルが起こります。

  • オステオポアの輪郭が不自然に浮きだって見えるようになってしまう
  • 皮膚が血流障害を起こし赤くなってしまう
  • 最悪皮膚に穴が空いてしまう

このようなトラブルを防ぐために、皮膚を剥がす時に適切な深さ及び、皮下脂肪を取る際には細心の注意を払う必要があります。

当クリニックでオステオポアを実施していない理由

オステオポアにはメリットがあるのですが、これから述べる7つの大きなデメリットがあります。

  1. 術後1~2週間の間に外から力が加わるとずれてしまうことがある
  2. 感染を起こすことがある
  3. 皮膚が薄くなりオステオポアの輪郭が浮き上がって不自然に見えることがある
  4. 違和感や異物感が気になることがある
  5. オステオポアの下にある土台の軟骨が圧迫されて変形することがある
  6. 皮膚に穴があいてオステオポアが飛び出してくることがある
  7. いざ取り出すとなると皮膚と癒着して取り出せない場合がある

このような深刻なトラブルにつながることがあり、メリットよりデメリットが圧倒的に上回るため、当クリニックではオステオポアは実施しておりません。

最大のデメリットは取り出しにくいことです。

オステオポアを埋め込んだあと、そのメッシュ構造に絡みつくようにコラーゲンが出てきて、周りの組織と固く癒着してしまうため、取り出すのが難しいのです。

癒着している部分を全て剥がそうとすると、皮膚が薄くなってしまう場合があります。こうなると血流障害を起こして皮膚が壊死するリスクがあるため、全て除去しきれないこともあります。

また埋め込んで年数が経っていると、オステオポアがもろくなってボロボロと崩れ、細かい破片状になってしまいます。これらも可能な限り取り出すのですが、米粒を拾っていくように細かい作業となるため非常に労力が必要になります。

鼻プロテーゼとどちらが危険?寄贈軟骨は?

I型鼻プロテーゼは鼻筋を高くするもので、鼻先も高くしたい場合はL型プロテーゼを入れるか、I型プロテーゼ+鼻先に軟骨移植をする必要があります。鼻先だけに入れるプロテーゼはありません。

それでもあえて比較するなら、鼻プロテーゼは取り出す時に引っ張り出せばツルンと取れるので安全性という意味では鼻プロテーゼの方が高いと言えます。オステオポアは人工軟骨とも呼ばれていますが、なら寄贈軟骨の方が良いかもと思われる方がいらっしゃるかもしれません。寄贈軟骨を鼻整形に使用するリスクについては別記事で解説しましたのでご覧ください。

オステオポアを入れるぐらいなら、最初から自家組織を入れたほうが絶対にいいと断言できます。

オステオポアによるトラブルの解決方法

最近オステオポアによるトラブル例が増えており、当クリニックではその修正手術を専門的に行っています。

最近の事例では、とある患者さんは皮膚が薄くなって穴が空いており、オステオポールがほとんど露出してしまっていたというケースがありました。

また別の患者さんなのですが、皮膚が薄くなってオステオポアの丸い輪郭が透けて浮き出てしまっていました。

修正手術ではトラブルの原因となっているオステオポアを取り出し、その代わりに自己組織(軟骨+筋膜または真皮脂肪)を移植するのがベストです。

オステオポアでトラブルが起きた時に修正する手術

通常以下の手順で手術をします。

①オープン法で切開する

本来であれば鼻の外に傷をつけない、鼻の穴の中から切開するクローズ法で手術をしたいところなのです。しかし、オステオポアを除去するのはクローズ法では難しいので、鼻を外側から切開して中がよく見えるようにするオープン法にて手術をします。


取り出すときは鼻の外側に多かれ少なかれ傷が残ってしまうことは避けられません。

鼻の手術のオープン法とクローズ法の詳しい違いについてはこちら

②オステオポアを丁寧に取り出す

埋め込んで年数が経っている場合は、かなり細かい作業になりますが砕けて破片状になったオステオポアを丹念に取り除きます。

③筋膜または真皮脂肪で包んだ軟骨を鼻先の皮下に移植する

オステオポアを取っただけだと、鼻先が凹んでしまうので修復する必要があります。そのために耳から採取した耳介軟骨を、オステオポアが入っていた箇所に埋め込みます。

これは自分の体の組織なので完全に鼻の組織に定着し、体の一部となるため安全ですし、仕上がりに不自然さもありません。

最後に

最終的には自己組織を移植しなくてはならなくなる可能性が高いのです。

それであれば最初から自家組織移植を行ったほうが安全ですし、結局安上がりになります。

オステオポアの手術は確かに手術金額や時間が少なくて済みます。


しかし、後で費用も大きくかかり、修正手術で鼻に傷あとが残って後悔する可能性が高いことを、是非知っておいていただきたいと思います。

松下洋二(医師)

鳥取大学医学部卒業後に京都大学医学部形成外科に入局。大学附属病院などで形成外科・美容外科で働いた後、2007年より五本木クリニックの美容診療部の部長に就任。

主に他院での鼻整形の失敗で悩む患者さんからの修正依頼に応えて続け20年以上経ちます。こんな私の強みは、施術後、時間が経つと一体どんな影響を及ぼしていくのか、その未来について予測ができること。医師としてこれまで患者さんと向き合ってきた経験を現場で活かすだけでなく、読者の皆さんにとって少しでも有益な情報になるよう情報発信に努めてまいります。

松下洋二(医師)への相談窓口

0120-70-5929

10:00~18:30※日曜日•祝日は休診

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