【スレッドリフト】切らないで特殊な糸を使ってリフトアップする方法

輪郭整形

加齢とともにだんだん頬が下がり、ほうれい線が目立ってきたり、フェイスラインがだぶついたりと、なにかとたるみが気になるようになりますよね。

そんな時、気軽にたるみを改善する方法としては、レーザーや高周波、超音波などを当てて肌のコラーゲンを増やす方法があります。お手軽とはいえハリはでます。でも、引き上がるところまではなかなかいかず物足りなさを感じる人が多いのではないでしょうか。お手軽だけど効果はしっかり欲しい!切らずに糸でリフトアップするスレッドリフトについて解説します。

スレッドリフトって何?

たるみを取る方法で、最も効果があるのは、やはり、メスで切って余分な皮膚を切り取り、引っ張り上げる手術です。しかし、体にメスを入れるとなると、ダウンタイムや痛み、傷あとなど不安な要素が多く、なかなか踏み切れません。

そこで登場したのが、スレッドリフトです。スレッドとは英語で「糸」の意味で、トゲやひっかかりのついた特殊な糸を皮下に埋め込み、たるんだ皮膚を糸に引っかけて引き上げる方法です。

2001年にこの方法が発表されて以来、その手軽さからブームになり、今やリフトアップといえばまず糸で引き上げるという時代になっています。

針を刺して皮膚の裏側に糸を埋め込むだけなので、腫れや痛みも軽度で、傷あとの心配もなく、施術時間も短時間で即効性があり、仕上がりもナチュラルという優れた方法です。

登場以来15年余りが経過して、その間にどんどん改良が加えられ、いろいろなメーカーが独自の糸を開発し、様々な種類のスレッドリフトが出ています。

ネットで「スレッドリフト」を検索してみると、20種類以上が出てきます。五十音順にざっとあげてみると、

アプトス

ウルトラVリフト

エックストーシス

ザ・リフト

J リフト

ショッピングスレッドリフト

シルエットリフト

スプリングリフト

3D リフト

Z リフト

ダブルハートリフト

トルネードリフト

ナチュラルVラインリフト

N-COGスレッドリフト

ネオVリフト

ハッピーリフト

マルチ トーシス

ミラクルリフト

ミントリフト

リードファインリフト

ワプトス

など

たくさんありますよね!これらは糸の製品名の場合もあれば、糸の入れ方・手法の名前の場合もあります。またクリニックによっては独自でネーミングしたものなどもあり、とても複雑になっています。

そんなわけで、一般の方が、それぞれの糸の違いを把握したり、自分に一番合う方法を自ら選択することはまず無理で、結局は、医師にすすめられるまま、言われるままに、よくわからずに治療を受けているのが現状です。

当院でもスレッドリフトはいち早く導入し、新製品が出るたびに、まず医師やスタッフで試してみて、使用感の良いもの、しっかり効果の出るものをよく吟味して採用してきました。

今まで蓄積してきたいろいろな経験をもとに、今回は、糸の種類の見分け方や当院イチオシの最新スレッドリフト法を紹介したいと思います。

引き上げタイプと引き締めタイプ

本来、スレッドリフトはトゲや毛羽立ちのような引っ掛かりがついている糸を使うものでしたが、時代の流れとともに、トゲの付いてないタイプの糸が出てきました。ウルトラVリフトやショッピングスレッドリフト、リードファインリフト、ナチュラルVラインリフトなどがこれにあたります。

このトゲなしの糸は、トゲ付きの糸よりも細く短いもので、格子状にたくさん埋め込み、皮下に網(ネット)を張り巡らせるようなイメージで肌の引き締め感を出すものです。

よって、このタイプの糸は引き上げ力は弱く、引き締め効果(タイトニング)や肌質改善がメインの効果になります。しっかりリフトアップしたいという希望の方には向きません。

ある程度しっかり引き上げ効果を求める場合は、トゲの付いたスレッドリフトを選択します。

溶けるタイプと溶けないタイプ

スレッドリフトの糸の種類は大きく分けて、「溶けるタイプ」と「溶けないタイプ」があります。

当院の基本方針として、溶けずに体内に一生残ってしまう異物は使用しない主義ですので、溶けないタイプの糸は使いません。

溶けないタイプの糸は、アプトス、ワプトス、エックストーシス、旧シルエットリフト、スプリングリフト、ミラクルリフトなどがあります。

溶けない糸は、感染など何かトラブルがあった場合に、抜こうと思ってもコラーゲン線維がからみついていて簡単に取れない場合があります。また、加齢や体重減少などで、皮下脂肪が減ると糸の輪郭がスジ状に浮いてくることもあります。

溶ける糸は、体内で分解・吸収される素材で作られているので、数ヶ月から2年ほどで吸収されて自然に消えていきます。

その分、効果の持続性は溶けない糸より劣りますが、万が一失敗や術後トラブルがあったとしても、そのうち糸が溶けてなくなるのでリスクが低いのが利点です。

溶ける糸の元祖的存在は、ハッピーリフトですが、最近は安全性の高い吸収糸が人気で、他にもいろいろな種類が出ています。ザ・リフト、J リフト、新シルエットリフト、3Dリフト、Z リフト、ダブルハートリフト、N-COGスレッドリフト、ネオVリフト、ミントリフトなど、いずれも溶ける糸です。

当院で採用している4種類のスレッドリフト

数あるスレッドリフトの中から、当院が厳選した糸は下の4種類です(2016年の時点)。

Z リフト

ハッピーリフト

ダブルハートリフト

ザ・リフト

上で述べたように、いずれも安全性の高い溶けるタイプの糸です。各糸のスペックを一覧表にすると次のようになります。

糸リフトの料金表

具体的にそれぞれの糸の違い、特徴をみていきましょう。

・糸の材質

糸の材質はPDO(ポリジオキサノン)製とPLA(ポリ乳酸)製の2種類あります。従来の溶ける糸はほとんどがPDOでできています。最近新しく登場したZ リフトはPLA製で、PDO製の糸と比較して、溶けてなくなるまでの期間は約3倍の2年間、引っ張り強度は約1.5倍と、より優れています。

トゲの数

トゲの数は多いほどリフトアップ力が強くなり、Z リフトが最多です。

トゲの方向

従来の糸のトゲは、糸に対して一方向(平面的)に作られていました。これに対して、新しいZ リフトのトゲは、糸を中心に360度、らせん状に作られています。そのため、トゲが皮下組織に引っかかるポイントが増え、リフティング効果がさらにアップしています。

針先

糸は針を刺して埋め込んでいきますが、針の種類は二種類あり、先の尖った鋭利な針(鋭針)と、先が丸い鈍な針(鈍針)があります。鈍針は、血管を傷つけにくいため、内出血や腫れのリスクがほとんどありません。Z リフトとダブルハートリフトは鈍針になっています。

針の太さ

糸の太さに応じて針の太さも異なります。糸が太いと、針も太くなります。一般的に針は細いほど痛みが軽くなります。

糸の太さ

糸の太さが太いほどリフトアップ力が強くなり、4種類の中では、Z リフトが一番太くなっています。

このように、総合的に見て新しいZ リフトがスペック的に一番優れています。ただ、その分、価格的には一番高くなってしまうのが難点です。

糸の選択方法

では、4種類の糸をどのように選択するか?単純に考えると、スペック的に一番優れているZ リフトを選ぶのがベストということになりますが、一概に言えないところが人間の体の難しいところです。

たるみの部位や程度、皮膚の弾力性や厚み、表情筋の動きなど、ひとりひとりみんな異なっていますから、その状態に合わせて糸を選択しなければなりません。場合によっては1種類だけでなく、何種類かの糸を組み合わせて用いる場合もあります。

スレッドリフトの引き上げパターン

上の図はいろいろな引き上げパターンを表していますが、ほんの一部です。どのポイントからどの方向に、どのくらいの深さで、何本入れるか、患者さんひとりひとりの状態に合わせ、オーダーメイド的にデザインします。

すべてを説明すると膨大な量になりますので、ここでは割愛させていただきますが、詳しくは診察の上、患者さんの希望に応じてベストの選択、組み合わせをプランニングします。

最後に、当院スタッフの例になりますが、実際の症例を見ていただきましょう。

VOVリフト症例写真(52歳女性)五本木クリニック

52歳、女性で、向かって左が治療前、右が治療後です。

Z リフトを左右3本ずつ、合計6本埋め込んでいます。ほうれい線やゴルゴ線が浅く目立たなくなり、あごのラインもシャープになっています。

日本人は劇的な変化ではなく、さりげない自然な仕上がりを希望する方の割合が多いので、そのような方にはスレッドリフトはまさに理想的な方法だと思います。

溶ける糸と溶けない糸、どちらを選択すべきか?

最後に、必ず気にかけていただきたいのが、埋め込む糸が溶けるタイプか、溶けないタイプかということです。溶けないタイプの糸は異物となって、一生体内に残ってしまいますから、何年か経過して遅れてトラブルが出てくることがあります。

安全性を第一に考えるなら、効果の持続期間は短くなりますが、溶けるタイプの糸を選択するのがベストと考えています。

松下洋二(医師)

鳥取大学医学部卒業後に京都大学医学部形成外科に入局。大学附属病院などで形成外科・美容外科で働いた後、2007年より五本木クリニックの美容診療部の部長に就任。

主に他院での鼻整形の失敗で悩む患者さんからの修正依頼に応えて続け20年以上経ちます。こんな私の強みは、施術後、時間が経つと一体どんな影響を及ぼしていくのか、その未来について予測ができること。医師としてこれまで患者さんと向き合ってきた経験を現場で活かすだけでなく、読者の皆さんにとって少しでも有益な情報になるよう情報発信に努めてまいります。

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