以前切らないで首のシワ・弛みを改善するネフェルティティネックリフトという治療法をブログで書いたのですが、このネフェルティティネックリフト以前はどんな治療をしていたの?という素朴な疑問を何件か受けましたので当院の経験と海外での治療状況をお伝えします。
美容治療の限界
どんなに全身をめちゃくちゃにお金と時間をかけて、美容外科手術を受けまくっていても改善できない場所として手の甲のシワと首のシワが挙げられていました(過去形)。
テレビや映画に出てくるスターがいくら綺麗であっても手の甲と首を見ればその方の年齢の検討がついていたのです。特にテレビはここ数年で画像・画素が格段の向上をしたため、顔がお仕事である方々を困らせていました。
顔の肌のきめやシワの改善は切らない治療、いわゆる美容皮膚科のレーザー治療等の発展によりかなり綺麗にすることが可能となっていました。
そこで勇気のある方は首のシワを全面的に改善するために、なんと切って治療する方がいたのです。
残念ながら明らかに傷跡が見えます
次に登場したのが糸で吊り上げる方法です。
糸で吊り上げると上記の写真のように傷跡は残りませんが、十分な効果を発揮できないのと、突っ張った感じがしてしまうためにあまり積極的に患者さんにお薦めできる治療ではありませんでした。また、治療時間が長いのと痛みが強いため全身麻酔が必要な場合もありリスク面でも満足な治療ではありません。
つまり弛んだ首の改善は切るか、かなりのリスクを冒すかしか選択肢がなかったのです。
切らないで首の弛みを改善する画期的な方法
世の中には研究熱心な人がいるものです。筋肉は一方的な方向へ縮むことで関節を動かす働きをしていますが、その筋肉自体は伸ばす動きできません。他の筋肉が反対方向へ縮むことにより、もう一方の筋肉は伸びることが出来るのです。つまり複数の筋肉がお互いに引っ張り合いっこをしていて、バランスを取っているのです。
では、なぜ首の弛みは出来るのでしょうか?
首のシワに関連する筋肉は主に二つあります。唇を横に「いー」と言ってみると突っ張る筋肉が首に現れると思います。これは首の浅い位置に存在する浅頸筋を構成する広頸筋と呼ばれる筋肉です。胸の筋膜と下あご周辺を結びつけている筋肉で首のシワを作る筋膜を緊張させることによって唇の端、口角を下に引っ張る仕事をしています。
もう一つは口角下制筋と呼ばれる筋肉です。この筋肉は上唇と口角を下に引っ張る働きをします。年を取ると唇がへの字になってきて口角が下がり気味になりますが、それはこの筋肉が緩んでくるからなのです。
この広頸筋と口角下制筋の関係を考えますと、年齢によって口角下制筋が緩んでくると、それに比較して広頸筋の力が強くなります。ということは広頸筋が縮む作用が強くなりますので、首の全面を覆うかたちになるこの広頸筋が収縮することによって首全体の皮膚が真ん中に引っ張られます。
皮膚は年齢によって薄くなり張りがなくなりますので、この皮膚全体が広頸筋の中心部である首の中心部を目指して弛みを生み出してしまうのです。
イメージとしては拡げたハンカチの中心部を指でつまみ上げると、それまでシワが無かったハンカチがつまみ上げた部分を中心としてシワシワになり、たるんだ感じになるのとお考えください。
左の写真のように首の中心部に向かって緩んだ皮膚が引っ張られるのです
ネフェルティティネックリフトについて
そこでボトックスの登場です。ボトックスは安全にシワを改善することが知られていますが、首が曲がってしまう斜頸という症状にも、美容的観点ではなく純粋に医療現場で利用されています。また、頻尿の改善にも効果を表すことが外国では証明されています。
簡単な注射によって過剰に働いている筋肉を安全に緩めることが可能なのです。日本でもいくつかの病気に対しては保険適用薬ですので、安心して使用できます。
当院に所属する医師がボトックスを製造しているアラガン社のアドバイザーであることにより、海外での使用例をいち早く入手することができ当院で行っている首のシワを改善する方法をネフェリティティネックリフトと呼んでいるのです。
何も当院独自の名前ではなく海外でも「 Nefertiti Neck Lift」または「 Nefertiti Lift」と呼ばれかなりの勢いで流行しています。
Get the perfect Nefertiti neck!なんて凄いタイトル付きでした!
難関の手の甲はどうなっているか?
手の甲のシミを取ることはレーザーで可能ですし、コラーゲン・エラスチンを活性化させることで若干ごまかすレベルまでは可能ですが、残念ですがぜひ治療しましょう!までは到達していません。首はこの方法でやっつけることができましたので「手の甲」これが美容医療の宿題です。ヒアルロン酸で手の甲はふっくらする施術は行っています。