「スレッドフィラー」溶ける糸を使った新しい考え方の美容皮膚科の治療方法です。

輪郭整形

スレッドフィラーという溶ける糸を使った治療

美容皮膚科でシワの治療でヒアルロン酸の注入(基本的には注射)が一般的になりました。美容医療に関心が高くない人でも、シワを消すにはヒアルロン酸というイメージになりつつあるようです。

しかし、きれいになりたいけど注射はイヤだ❗って人もいるためか、最近ではなんらかの薬剤を注入することを注射ではく「フィラー」と呼んでいる美容系クリニックが目立ちます。

美容皮膚科では注入して治療することを「フィラー」と呼んでいるようです

フィラーは英語で「filler」で、詰める・充填する、という意味です。シワ自体にヒアルロン酸を注入して盛り上げる治療方法もありますが、今ではシワ周辺の皮膚にヒアルロン酸を注入というか充填してシワを消すテックニックが用いられることが多いです。少なくとも当院では多いですね。

スレッドフィラーという溶ける糸を使った新しい美容治療

最近、当院で始めたスレッドフィラーという新しい美容治療ちょっとご紹介させてください。

まず、ヒアルロン酸を使わないで糸を使って、シワを消したり、皮膚の張りを出したり、鼻筋をスッキリさせる治療方法について簡単に説明いたします。

スレッドフィラーが使用可能な部位

このような部位にスレッドフィラーは使用可能です。

もちろん良いところだけではなく、トラブルもゼロでは無いので論文ベースの話も付け加えておきます。

シワを消したり、肌の張りを出したり、鼻筋をスッキリさせるスレッドフィラー

スレッドフィラーのスレッドは英語で「thread」と書いて、意味は「糸」です。フィラーは前述のように充填する・詰めるという意味ですから、糸を使って充填する、糸を詰める、という治療行為をあらわしています。

右目の下から差し込んでいるのが、スレッドフィラーです(モデルは恥ずかしながら私のようですねw)。目の下のシワを解消するには有効です(n=1w) 。

当院が使用しているスレッドフィラー(類似品が多いようです)の特長は針の先端が尖っていない鈍針なので、血管や神経を傷つけるリスクがほとんど無いものです。

スレッドフィラーのスレッドである糸はPDO(Polydioxanone ポリジオキサノン)として、体内に吸収される糸としてPDS縫合糸という一般名で一般の手術で使用されてます。安全面のご心配はあまり過度になる必要はありません。

スレッドフィラーの糸は6ヶ月程度で自然と体内に吸収されてしまいます。ある意味で、だからこそ安全、と考えても良いのですが、逆に効果が長持ちしないじゃんとのご意見も出るかと。

スレッドフィラーの糸はコラーゲンの形成と皮膚の色調と弾力性の改善につながる、との話も海外のサイトは述べています。(https://www.ec21.com/product-details/Thread-Filler–8894601.html)。

このスレッドフィラーは使用範囲がかなり広く、当院では眉間・額・目尻・目の下・いわゆるゴルゴ線・マリオネットライン・首などに広く使用経験があります。

スレッドフィラーは解ける糸を使って、ヒアルロン酸注入と同じような効果を発揮する新しい美容治療方法と考えてくださいませ。

スレッドフィラーとスレッドリフトの違い

糸を使ってたるみを引き上げる方法としてスレッドリフトがあります。スレッドリフトもスレッドフィラーと同じように時間と共に体内に吸収される素材を原料とした糸を使った治療です。

スレッドフィラーはどちらかというと皮膚を滑らかなイメージで、ヒアルロン酸注入だとゴツゴツ感の出てしまうおでこや目の下などの皮膚の薄いところへの効果が期待できます。

スレッドリフトは顔のたるみを引き上げる治療法であり、名前は似ているけど、主な治療目的が違っています。

スレッドフィラーの効果等を調べた医学論文

美容医療に関する医学論文はどちらかというと、一般の病気に関する研究ほどクオリティが高いものとは評価されていません。

当院が新しい治療方法を取り入れるときに注意しているのが、どんな治療でもゼロリスクであるはずなく、悪い面も注目することです(この私の考えが業者にかなり嫌われる原因ですけど泣)。

スレッドフィラーに関連する医学論文としてこのようなものを見つけました。

「Two years’ outcome of thread lifting with absorbable barbed PDO threads: Innovative score for objective and subjective assessment.」(PMID:28863268)、当院のスレッドフィラーと同じ素材であるPDOを美容目的で使用して2年間経過観察したものです。

結果的には非常に効果的である、と読み取れます。当院で人気のある「テスリフト」同様の糸を使用した研究です。

このテスリフトはしっかり引き揚げてたるみを改善するのが目的で使用されますので、今回取り上げたスレッドフィラーと求める効果は別物とお考えください。

美容皮膚科は病気を直すことが目的では無いことにご注意ください。美容的な観点から気になるところを改善するのが目的です(そのために保険診療は使えないのです)。

当院としては美容に関する情報は良い面だけでは無く、悪い点もしっかりお伝えしています。

こんな論文があります。「Complication After PDO Threads Lift.」(PMID: 31299818)によれば炎症を起こし腫瘤ができてしまったようです。でも、この治療をしたのは医師では無く東洋医学を専門とする治療家によるものです。

論文中にもあるように、まれな合併症と考えて差し支えないと判断しております。万が一、炎症等の合併症があったとしても当院は医療機関ですから、必要以上のご心配は不要です。

スレッドフィラーを使って鼻筋をスッキリさせる方法

海外のサイトでこのような治療風景を見つけました。

https://kascobeauty.en.made-in-china.com/product/QSZxKhJAgWUB/China-Korea-Dermal-Filler-Pdo-Suture-Thread.html

なんとなーく、かなり痛そうな治療風景ですね。当然、麻酔が必要です。これは当院が使用しているスレッドフィラーとは別のものですが、鼻筋をスッキリさせるためにこのような使い方をしています。

理論的には当院のスレッドフィラーでもこの治療は可能なので、スタッフで試してみて経過に問題なく、当然合併症も認められないのでご希望の患者さんへは行う予定です。

追記

治療直後の写真。おでこのシワを改善するのが目的です。さあ、どのような結果になるのか、数日後に追記しますね。なぜ額がチョイスされたかと言うと、スレッドフィラーを入れる時に一番痛みを感じやすい(神経の走行の問題)からだと思われます。目の下の時はほとんど痛みを感じなかったのに⋯。

確かにおでこに入れるのは、ちょいと痛かったです。初めて美容皮膚科に挑戦する方にはおすすめは出来ません、とキッパリお伝えしておきます。ある程度経験を積んだ方が、「ここのシワちょっと気になる」的な使用方法が適切だと、現時点では判断しています。

桑満おさむ(医師)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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