研究論文によると合併症が起きる確率は約2%です。合併症の内容としては左右非対称、皮膚の凹凸、膨らみすぎ、3週間以上続く腫れ、脂肪壊死、感染、毛細血管拡張症、赤み、ニキビの悪化などが報告されています。
顔
脂肪を注入した場所がしこりになることはないのですか?
脂肪を大きな塊状に注入した場合、脂肪細胞に十分に血流が行き渡らず部分的に壊死を起こすことがあります。その場合にしこりになることがあります。そうならないように、注入する際には少量ずつ細かく散らすように注入するのがポイントです。
目の下が気になる場合は脂肪注入?ヒアルロン酸?
目の下の凹みが気になる場合、そこにヒアルロン酸や脂肪を注入して改善する方法があります。どちらを選ぶかはいろいろな条件を考慮して決めます。低予算で抑えたい場合はヒアルロン酸になります。長期にわたる効果の持続性を求めるのであれば脂肪注入ということになります。ダウンタイムが取れない方はヒアルロン酸を選択します。ヒアルロン酸のアレルギーのある方は脂肪注入を選択します。また、目の下の皮膚は非常に薄いので、そこにヒアルロン酸を注入するとチンダル現象といって、青く透ける現象が起こることがあります。その場合は一旦ヒアルロン酸を溶かして脂肪注入を行う場合があります。
脂肪の生着率は、その採取した場所によって変わりますか?
脂肪の採取部位としては、腹部、脇腹、太もも、臀部などが報告されていますが、採取部位による生着率の違いについて統計学的に明らかな違いは認められていません。
注入した脂肪が多すぎた場合は簡単に取れるのか?
脂肪の定着率は平均すると大体50%ほどなので、それを見越して約2倍の量の脂肪を注入します。しかし生着率が予想以上に良い場合には膨らみすぎて脂肪を減らす必要が起きる場合があります。その場合には、脂肪溶解注射や脂肪吸引で脂肪を減らすことになります。ただし目の周りに注入した脂肪を取る場合にはこれらの方法が使えませんので、切開をして直接目で見ながら余分な脂肪を摘出する必要があります。
注入した脂肪がずれたり移動することはないか?
脂肪を注入すると創傷治癒反応が起こり脂肪細胞の周りにコラーゲンなどの線維性の組織が絡みつくように出てきて脂肪が固定されます。よって注入した脂肪がずれたり移動する事はありません。ヒアルロン酸の注入の場合は表情筋の動きなどによりずれたり移動することがあります。
脂肪採取・注入にかかる手術時間は?
脂肪を採取する時間が約1時間、脂肪を注入する時間が約30分で合計1時間半ぐらいかかります。
脂肪吸引・注入での麻酔の方法は?
脂肪の注入量、痛みに強いか弱いか等によって様々な麻酔法を使い分けます。 少量の脂肪注入であれば局所麻酔のみで可能です。注入量が多い場合や、痛みが苦手な方に対しては、静脈麻酔により鎮静した状態で手術するのがお勧めです。その中間的な麻酔法として、局所麻酔+笑気麻酔という方法もあります。また注入する箇所によってはブロック麻酔を併用することもあります。
脂肪を採取したところのダウンサイズは期待できますか?
バストの脂肪注入のように注入量が非常に多くそれなりの量の脂肪を採取する場合には、痩身効果は多少あります。しかし、通常顔の注入に必要な脂肪量はそこまで多くないので痩身効果は期待できません。
脂肪注入する部位によって生着率は違いますか?
研究論文で注入部位による生着率の明らかな違いが報告されているものとしては、バストよりも顔の方が生着率が高いということです。顔の注入部位による生着率の違いについてはまだ明確に述べた論文はありません。ただ、バストの脂肪注入に際して、事前にバストの皮膚を器具を使って引き伸ばした方が生着率が良くなるというデータがあります。それからすると皮膚の伸び率が大きい部位の方が生着率が良いと予想されます。よっておでこのように皮膚の伸び率が悪いところと比べるとほっぺたのように皮膚がよく伸びる部位の方が生着は良いと予想されます。
脂肪吸引・注入のダウンタイムはどのくらいですか?
脂肪採取部位と脂肪注入部位それぞれについて述べます。脂肪採取部位のダウンタイムは、腫れや内出血が落ち着くまでに1、2週間かかります。脂肪注入部位については、大きな腫れは1週間位で落ち着きますが、注入量が多い場合はある程度生着が完了するまで腫れた感じが数ヶ月続くことがあります。内出血が出た場合は消えるまでに1、2週間かかります。
効果を持続したいのですが、脂肪再注入の期間はどれくらいあけたらいいでしょうか?
注入した脂肪が完全に生着し落ち着くまでの期間としては研究論文によると5ヶ月から12ヶ月かかるとされています。よって再度注入するのに最適な期間としては、1回目の脂肪注入から5ヶ月から12ヶ月経過して十分に生着が確認されてから行うのが最適と考えられます。
年齢によって移植した脂肪の生着率は変わりますか?
年齢による生着率の違いを研究した論文はまだ見当たりません。しかし、理論的に考えると健康で若い方の脂肪細胞の方が元気が良いので、生着率は良くなると予想されます。
脂肪を注入したら一生効果がありますか?
脂肪注入後、注入された脂肪がどうなるか一生涯に渡って研究した論文はありません。最長で4年余り経過をみた報告があり、それによると生着した脂肪は4年後にも残っているという結果が示されています。