形成外科医のテクニックとして重要なのは、縫い方によって、いかに傷を目立たなくするかです。これは形成外科特有の技術です。けがややけど、手術後の傷跡の修正など傷の大きさや位置、性質によって、真皮縫合、Z形成術、W形成術などさまざまな縫合方法があります。傷を消すのではなく、傷に縫合跡を紛れ込ませるという発想です。
瘢痕とは
医学的用語では瘢痕(はんこん)、一般的には傷跡のことです。外傷、火傷(やけど)、手術の後に残るものの総称です。大きさ、深さ、部位、細菌感染などによって傷跡の残り方は変わってきます。形成外科的な治療は、傷が盛り上がってくる肥厚性瘢痕に対して、傷を負ってから半年以上を経た頃に実施します。
傷が盛り上がった症例には瘢痕形成術が適応
傷は治った後、赤みを帯びて硬くなり、時間の経過とともに白っぽく柔らかく目立たなくなっていきます。3カ月間は不安定で、傷跡の幅が大きくなったり、傷が盛り上がる肥厚性瘢痕、ケロイドという状態になったりします。瘢痕形成術は肥厚性瘢痕に対して適応され、ケロイドについてはステロイド注入、外用薬や内服薬による治療などが中心となります。傷跡の性質について、専門医の意見を聞いて治療方法をよく検討するべきです。
傷跡の状態によって縫合の仕方をデザイン
例えばW形成術とは、シワの方向に逆らわないように縫合することによって目立たなくする方法です。また、傷があることによって、引きつれなどでその周囲の組織の動きが鈍くなったり、痛みやかゆみが発生する場合がありますので、できるだけそれを防いで患者さんのQOL(生活の質)を良くします。傷を目立たなくし、違和感なく生活していただくために、縫合の仕方をじっくりデザインして施術いたします。
瘢痕形成術の治療の流れ
手術時間は2〜5時間です。
- 当院の専門医がカウンセリングを行い、評価して治療方法を決めます。
- 局所麻酔をします。
- 傷の形を利用した切除法で傷を目立たなくします。
- 腫れや出血等は最小限に抑えます。
- 6〜21日後に抜糸をします。