なぜレーザーには様々な種類があるの?

レーザーは、工業で使うレーザー、物理や化学で使用するレーザー、そして私たち医療で使うレーザーと多種多様です。美容医療で使うレーザーでさえ様々な種類のレーザーがあり、患者さんにとってわかりにくいものになっています。

なぜ多くの種類が医療で必要なのかと言いますと、レーザーの光を作り出す仕組みの種類や、レーザーを照射する仕組みの種類よって、得意となる皮膚の症状が違ってくるからです。

なぜ種類によってできることが違うのか?

レーザーは光であり、レーザーの種類よって反応する皮膚の色や深さがちがってきます。シミといっても、表面が浮き出ているシミ、皮膚の浅い部分にできるシミ、皮膚の深い部分にできるシミがあります。そこで、シミの状態を見極めて適切なレーザーを選択する必要があるのです。

レーザー種別及び波長の違いによる皮膚の到達深度の違い

レーザー波長と皮膚到達深度

レーザー種別及び波長の違いによる皮膚の到達深度の違い

またレーザーの波長によってメラニンや水に対する吸収性が違ってきます。

またレーザーの波長によってメラニンや水に対する吸収性の違い

レーザー種別及び波長の違いによるメラニン・水・酸化ヘモグロビンへの吸収性の違い

一番波長の長いCO2レーザーは波長10,600nmもあるのに、皮膚のごく表面にしか到達しません。

これはなぜかと言いますと、水に多く反応するので、皮膚の表面にある水によって熱に変わってしまうからです。
レーザー波長が長くなると皮膚の到達度が浅くなりますが、図2を見るとわかるように波長が900nmを超えるあたりから急速に水への反応が高っていることがわかります。このためなのです。

これらの図からわかるように様々なレーザーはそれぞれ得意とする領域が異なります。
「皮膚のどの深さに作用させるか」
「何をターゲットとして狙うか」
によって各種レーザーを使い分けているのです。

それぞれのレーザーの特徴

YAGレーザー

波長が長く皮膚の奥までレーザーが届くことを利用して、主に脱毛に使用されています。

Nd:YAGレーザー

シミと呼ばれる医学用語では老人性色素斑の治療に使われます。通常はQスイッチと呼ばれる特殊な装置が付いたQスイッチYAGレーザーと呼ばれる機種が美容医療では使用されています。

QスイッチNd:YAGレーザー

簡単に説明するとQスイッチは安定した光の波を瞬時に照射するためのシャッターのような役割を果たします。

フラクショナルEr: YAGレーザー

フラクショナルとは細かいレーザーによって小さな孔を皮膚にあけ、創傷治癒過程(体が持つ自然治癒力によって傷が治る働き)を利用して、肌を再生するために考えられた仕組みです。 いわゆるスキンリジュビネーション(肌の再生を促すことによる若返り)に最適なレーザーと現時点では考えられています。

炭酸ガスレーザーの特徴

炭酸ガスレーザーは一般の方がイメージするレーザーの典型です。高エネルギーの出力が得られるために、水分を多く含む人体組織の蒸散に使用されます。美容医療ではレーザーメスに準じた使用方法として、イボや盛り上がったシミやほくろの治療に使われます。

ダイオードレーザーの特徴

皮膚の深い部分にまで到達することを利用して脱毛に使われることが多いです。レンズを組み合わせることによってホクロの除去にもしようされます。また、熱を利用して肌の引き締め効果も期待ができます。

QスイッチYAGレーザーでシミを取ったら数カ月後に逆にしみが濃くなって目立ったと…

それは炎症後色素沈着(postinflammatory hyperpigmentation、略してPIH)と呼ばれる現象です。きれいにシミが取れたと思っていたら、一定の期間が経過するとしみが再発したようにみえる症状で、シミ治療に際してもっともみられる肌のトラブルです。PIHは放置していても時間の経過とともに解消することがほとんどです。しかし、せっかくシミの治療をしたのですから、美白効果のあるハイドロキノンと呼ばれる塗り薬としっかりと紫外線対策をすることによってPIHの出現頻度を低下させることが可能です。

QスイッチYAGレーザーでシミを治療した後の経過はどうなりますか?

QスイッチYAGレーザーはほんの一瞬弾かれたような痛みを感じるだけであるため麻酔は使用しなくても治療可能です。レーザー照射直後はしみは白くなったようになりますが、数時間で薄いかさぶたが出来てきます。かさぶたは一週間程度で自然に剥がれ落ちますが、治療部分を保護するために特殊な薬剤が含まれた貼り薬を使用していただきます。その間、洗顔や入浴は可能です。一週間程度で保護していた貼り薬を剥がすと、かさぶたが自然に剥がれ、その下からしみの無い綺麗な肌が現れます。術後は紫外線対策として日焼け止めの使用が必要です。

脱毛治療後に毛が太くなることがあると聞いたことがありますが本当ですか?

ごくまれにですが、太くなることがあります。原因は不明ですが、背中や腕、頬、あご、うなじなどで脱毛治療後に毛が太くなる現象(硬毛化)が起こることがあります。その場合は、レーザーの照射条件を変更したり、レーザー機器の種類を変えたりして対応します。

レーザー脱毛をやってはいけないのはどのような場合ですか?

以下のような方や部位はレーザー脱毛ができません。

  • 光線過敏症の方
  • 妊娠している方
  • 悪性を疑う皮膚病変がある部位
  • 炎症や外傷、感染がある部位
  • あざや入れ墨、タトゥーがある部位

白髪も脱毛できますか?

脱毛用のレーザーは、毛の黒い色に反応して脱毛効果を発揮します。白髪や脱色をしている毛には反応しないため、残念ながら脱毛効果は期待できません。

日焼けしている肌でも脱毛できますか?

日焼けして黒くなっている肌にレーザーを当てると、やけどのリスクが非常に高くなります。事前に日焼けしてしまった場合は、日焼けが完全に落ち着くまで待ってから照射します。

レーザー脱毛の施術当日に入浴は可能ですか?

脱毛当日はサウナや熱すぎるお風呂は避けて、軽くシャワーを浴びる程度にしてください。翌日に赤みが落ち着いていましたら、通常の入浴が可能です。

レーザー脱毛後に赤くなったり腫れたりしますか?

毛穴の周辺に赤みや蚊に刺されたような腫れが起こる場合がありますが、通常数時間~24時間以内に治まります。赤みや腫れが落ち着くまで、炎症止めの塗り薬を塗っていただきます。

レーザーでやけどを起こすことはないですか?

当院で使用している脱毛用YAGレーザーには、冷却ガスシステムが搭載されています。レーザーの照射と同時に冷却ガスを吹き付けることで、皮膚の温度上昇を抑え、やけどのリスクを大幅に減らします。

レーザー脱毛の前に毛をそる必要はありますか?

施術当日までに脱毛部位を電動シェーバーやカミソリで剃毛してからご来院ください。剃毛されずにご来院された場合、剃毛に時間がかかってご希望の部位をすべて施術できない場合があります。

うぶ毛もきれいに取れますか?

脱毛用のレーザーは、毛の黒い色に反応して脱毛効果を発揮します。うぶ毛のように色が薄く細い毛には反応しにくいため、うぶ毛まで完全に脱毛することは困難です。

レーザー脱毛は何カ月おきの施術ですか?

毛には毛周期があります。毛周期には成長期・退行期・休止期があり、そのうち成長期に施術を行うことにより脱毛されます。そのため1度照射した部位は1カ月半~2カ月空けて施術を行います。

YAGレーザーは痛みありますか?

当院で使用している脱毛用YAGレーザーには、冷却ガスシステムが搭載されています。レーザーの照射と同時に冷却ガスを吹き付けることで肌の感覚を瞬間的に麻痺させ、痛みを和らげます。輪ゴムではじかれるような感覚はありますが、麻酔は必要ありません。